DOMINION 外国人選手がベルトを独占

新日本プロレス、上半期の総決算と言える大阪城ホールDOMINION大会。
今年の東京ドーム大会よりも個人的には満足のカードと試合内容でしたが・・・
全試合を見終わって、ゲスト解説の蝶野正洋選手の発言を聞いてハッとしました。

「社長が外人になって、ベルトも外人選手、海外戦略も重要だけど新日本プロレス、ニュージャパンは日本の団体だ」と。

確かに今回試合前に挨拶をしたメイ社長の存在というのは今後大きくなるでしょう。
多くの人がご存知でしょう、彼はタカラトミーの前社長でありコカ・コーラ社やサンスター、日本リーバ、ハイネケンなどで活躍した人。
新日本プロレスが今後本気でWWEのような世界的なメジャーなエンターテイメントとして広めていこうとしているのは明らかです。
※これについては僕は賛成ですけどね。90年代からファンですけど、プロレスとは形が変わるものですから。

一部ファンがざわついているのは、この社長の変更のタイミングで今回DOMINIONで外国人チャンピオンが量産されたこと。
まぁこれも僕としては「図式が増えて面白いじゃん」だし「プロレスファンなんだから大きく考えようよ」って部分なのですが、一応おさらいまでにまとめておくと、まずNEVER王者がマイケル・エルガンに。
この作り直した体と試合内容、文句なしだと思うんですけどね。別にG1で優勝しても文句無いレベルだと思うんですけど。

IWGPタッグ王者は、ヘビー転向して一発で奪取となったヤングバックス。
タッグとして世界一でしょうし、内容も素晴らしかったです。
問題なのは新日本プロレスがヘビータッグ軽視をし続けてきたことで丁度よい相手がいないということですね。
全盛期のテンコジや真壁本間とかなら見てみたかったですけど。

IWGPジュニアはベスト・オブ・ザ・スーパージュニアを制覇した高橋ヒロムが何とか手に入れることができました。
凄い試合内容でしたし、これから5年ぐらいは高橋ヒロムがジュニアを引っ張るんだろうなぁという感じで、これはとても希望に満ち溢れていると感じます。
ジュニア王者としてヘビーに対抗するのは高橋ヒロムが筆頭でしょう。また今後仮に鈴木軍が解体した時にはデスペラードとの共闘も期待できますし、もちろんライバル争いで名勝負数え歌になって行く可能性もあって楽しみです。

インターコンチネンタルは予想が完全に外れて、何とクリス・ジェリコが内藤に勝利して王者に!!
これで世界的スーパースターのクリス・ジェリコが今後まだ新日本プロレスと絡むことが確定したというのは凄いことですし、僕はそれは無いと思っていたので内藤防衛だと思っていたんですけどね。

クリス・ジェリコの怪物っぷりというか怖さを見せた試合で内藤は目から出血するなどボロボロ。
でも内藤ってやられている時に光りますし、負けて価値が落ちるような程度のレスラーじゃなくてむしろ上げることもできますからね。
ここからG1優勝してドームでケニーオメガ戦で戴冠というパターンもあるでしょうし、最終的にジェリコとリマッチもいいでしょうし、プロレスは勝てば良いってものじゃないですから、そういう競技ではないので内藤哲也のような存在こそプロレス的で美しいと思うのです。

特に最近のプロレスファンの人はネット世代というか「勝ちか負け」「勝ち馬に乗りたい」という傾向が強くなって当然なんですけど、プロレスの場合は「好きなレスラーが負けた先の方が面白いのよ」ってことをそろそろ覚える時期なんじゃないかなーと思います。
逆にプロレスを見ていてそれを感じることができない人はプロレスを見なくなると思います、なのでブームの今から今後数年が怖いところですよね。

そしてメインイベント、2年間の防衛と防衛数記録を更新したオカダカズチカとケニーオメガの時間無制限3本勝負。
試合は60分を超える死闘の中、2勝したケニーオメガが勝利してついにIWGP王者になることができました。
この2人の試合はアスリート的で現在のプロレスの中で最も激しいと思います。ここに張り合うレスラーが世界中から今後出てくるでしょうし、逆にそうじゃないと、違う見せ方を極めるレスラーも出てくるはずです。ここからまだまだプロレスの進化を見ることができると思います。

タイトル戦が無かったものもありますが、ざっとまとめると
NEVER エルガン
NEVER6 マット・ニック・マーティ
IWGPジュニア 高橋ヒロム
IWGPジュニアタッグ デスペラード 金丸
IWGPタッグ ヤングバックス
IWGPUS ジェイホワイト
IWGPIC クリスジェリコ
IWGPヘビー ケニーオメガ

ジュニア以外は外国人という感じですね。
まぁでも世界戦略が重要な時期ですしこれは問題ないと思います。
ジェリコの継続参戦も確信となり、今後逆にここから日本人の逆襲が始まるという楽しみもありつつ、この「ジュニアだけ日本人」というところを利用して高橋ヒロムなんかは「ヘビーの奴らがだらしないから俺が取り返す」ぐらいの発言をしそうですからね。

ただ!ただ1つ、勘違いをしてほしくないのは新日本プロレスは今現在でも世界的に人気が出てきています。
そして今世界で新日本プロレスを好きなファンというのは「新日本プロレスのプロレスが好き」なのです。

なので、ここでWWEのパクリみたいな路線に行ってしまうとWWEを超えれない上に新日本プロレスの現在のファンが離れるというケースが十分に考えられるわけです。

その点は超優秀な社長が就任したことで間違えることはないと思いますが、プロレス界というのはこれまでも「なんでや!?」ってミスをしてきた業界です。
1ファンでも「それだけは駄目だ」ってことがわかることを平気でしてしまうのがプロレスなので、どうしても不安が・・・(笑)

 

さて、これで夏はG1がやってきます。
基本的には「丸腰の選手が優勝する」ことがテンプレート。
でも結構今回は難しいなぁと思います。

これですんなりオカダカズチカが優勝だと、せっかく身軽になったオカダカズチカをまた不自由にさせてしまうことになります。
オカダが強すぎることでファンが逆に離れる傾向もあっただけに、少し寝かせて来年の方が良い気もしますね。
特にレスラー人生がこれから熟成していく年齢ですから、記録よりも記憶に残る展開をオカダには与えてほしいものです。

次に内藤哲也。優勝すると2連覇ですが、今年はシングル戦で散々でしたから今年も優勝して来年こそIWGP王者に東京ドームで成るというある意味でこの数年新日本プロレスを圧倒的に盛り上げた褒美を手にするというのは誰も文句を言わないでしょう。
でも、今年の1.4東京ドームでオカダに勝利して王座になるというのがどう考えても最高にして最大のタイミングだっただけに、それを逃して例えばケニーから奪取しても・・・イマイチなんですよねぇ。
だからこういうところがプロレス界の「なんで?」ってところなんですよね。誰が見ても一番だと考えるタイミングでそれをやらない(笑)
こうなると実は内藤哲也はもうベルトどうこうで主役にってことは今後無いのかもしれませんね。そもそもベルトが必要ない格ですから。
それ以外で話題を作り続けれるかどうか?飽きられないかどうか?その1点だけが重要になりそうです。

棚橋・・・は厳しいですね、もうトップ級での試合は難しい。
でも個人的には真壁と組んでIWGPタッグ路線に行くとか、できれば棚橋が現役の間に内藤やオカダと組んでほしいですけどね。

後藤洋央紀、実はチャンスですよね。
永遠の4~5番手という感じですが、ケニーオメガからベルトを取ってリベンジというのは、実はテーマがありますから。
年齢的にもですし、このまま一度もIWGPを巻かずに終わるには悲しすぎるじゃないですか。

他にもEVILもいますし、SANADA、飯伏幸太ももちろんありえることでしょう。
流石に外人優勝はないでしょうが、今年はどうなるか読みにくいので楽しみですね。

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