ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア25 これこそ「ヘビー級との戦い」

今年もやってまいりましたBEST OF THE SUPER Jr.(ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア)。
前身となるTOP OF THE SUPER Jr.は1988年で高田延彦や馳浩、越中詩郎などが参加していました。
BEST OF THE SUPER Jr.の第一回は1994年、私は中学2年生だったわけですが、深夜にワールドプロレスリングを見て「こんな人間がいるのか!?」と、ますますプロレスが好きになった大会でもありました。

ジュニアがヘビーを超えていた時代、それが90年代に確実にありましたが、基本的にプロレスというのはヘビー優遇でジュニア冷遇という構図です。
試合をすればジュニアはヘビーに勝たせてもらえないですし、どれだけ頑張っても負け役になってしまう。

G1の決勝戦が両国や日本武道館で開催される中で、ベスト・オブ・ザ・スーパージュニアは今年後楽園で最終戦という辺りも差があります。

さて、そんな中、ここ数年でジュニアが90年代の進化系と言える凄い試合をしている中で、多くのジュニア選手が「ヘビー級を超える」「ヘビー級との戦い」というコメントを出すようになりました。

これに関して僕は過去にブログでも書きましたが「ジュニアVSヘビーの抗争」という展開があるのかな?と楽しみにしていましたが、、、そうではないんだなと思ったのが今回のベスト・オブ・ザ・スーパージュニアの後楽園での開幕2連戦の内容を見て思ったことです。

ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア25 すでにベストバウト級の試合が連発

初日、タイガーマスクVS金丸の試合は「ベテランだなぁ、やっぱりプロレスが上手いなぁ」と。
派手なレスラーが増える中で玄人好みの試合は必要ですし、それができるこの2人が参加しているのは嬉しい。
食卓で言えばステーキやハンバーグではないですけど、出汁を出しながら食べても美味しい椎茸とかそういう存在。
これがあるとないでは味が違うってものです。

ACHとフリップゴードンの試合は「世界は広い!」と思わせる内容でした。
ACHはこの時期の常連ですがフリップゴードンはRHOで活躍しているフライヤーで
今年新日本に1度だけ参戦したまだ27歳の若い選手。
まさに「アニメやゲームの世界」をリングで見せれるこの2人の試合は世界のどこでも商品になるカードだなと思いました。

YOHとBUSHIの試合も想像を超えていました。
帰国してプッシュされるも実力が追いつかずに下降線となったYOHとSHO。
それに対峙するBUSHIは「若い奴に舐められてたまるか」と厳しい攻撃を連発。
新日本で今後何度も見たいカード、何度も見せれるカードになっていく期待感がありました。

初日のメイン、ウィル・オスプレイと石森太二の試合もクオリティが高く
これが決勝と言われても何の違和感もない壮絶な試合でした。
ノアを退団してすぐに新日本に来たことで石森太二を批判する人もいますが
その結果としてこういうカードが実現したというのは僕的には嬉しいこと。
石森太二として新日本に参戦して最初の試合で負けるという意味不明な展開になるとは考えられないので
ここで現在のIWGPジュニア王者のオスプレイに勝つことが誰でも読めてしまった点だけが残念でしたが
更に新日ジュニアの勢いが付くことを確信できたメインイベントでした。

・・・石森太二選手はもう少しマイクとコメントを練習しないと
ちょっと演者としては厳しいかなとは思いましたが、改善はするでしょうし
何なら同じBULLET CLUBの高橋裕二郎をマネージャーにするのも手でしょう。

初日だけでお腹いっぱいレベルですが、2日目も凄かった。

ドラゴン・リーとSHOのシングルマッチ。
ドラゴン・リーはCMLLで人気の選手で、新日本の高橋ヒロムの海外遠征時のライバル。
とてつもない選手ですし、大げさでなく初代タイガー&ダイナマイトキッド&二代目ブラックタイガーの
全ての遺伝子を進化させて持っているような存在。

なのにまだ23歳!(笑)

危険性のある技が多いので、WWEでという感じではない選手ですが
日本やメキシコではこれから10年近く頂点にいてもおかしくない選手です。

対するSHOはシングルで輝けるか?というところでしたが
ドラゴン・リーとも手が合う感じでかなり激しい試合を繰り広げました。
これもベストバウト級の試合でしたし、見れば見るほど「全員優勝候補」という
今年のベスト・オブ・ザ・スーパージュニアになってきました。

田口隆祐とエルデスペラードの一戦は新日本ファンに嬉しいカードでしょう。
エルデスペラードの中身は「彼」ですから、田口からすれば後輩、そして生え抜きの2人。
そして、最近のおふざけプロレスを封印してしっかりとシングルプレーヤーとして
実力を見せつける田口に対して、そろそろ浮上しないと「いいレスラー」で
終わってしまいそうなエルデスペラードの必死さも見えてよかったです。

KUSHIDAとクリス・セイビン、これも意味合いが深い試合で
必ず名勝負になると思いましたが、これも決勝戦級の試合でした。

クリス・セイビンは元々アレックス・シェリーとの「モーターシティ・マシンガンズ」で
世界的なタッグチームとして有名で、僕自身このモーターシティ・マシンガンズは生で見たこともあって
大好きなチームでした。
その後、アレックス・シェリーは新日本プロレスに参戦してKUSHIDAとタッグを組み
タイムスプリッターズとしてこれまた人気のタッグチームで日本でも大人気でした。

なので、日本という点で言えばアレックス・シェリーの方が印象的ですが
今回はクリス・セイビンが参戦して、なおかつ初戦がKUSHIDA。
簡単に言ってしまえば「アレックス・シェリーの相方対決」であり
何だか元彼元カノ対決のような、そういうカードになりました。

試合はクリーンな内容になり、誰が見ても拍手するような内容でしたね。
KUSHIDAがアレックス・シェリーの技を使おうとしたりなど細かいところでも
この試合の意味を見せていて、やっぱりKUSHIDAは上手いなぁと思いました。

そしてメイン、高橋ヒロムとマーティースカルの試合。

僕が今ジュニアで好きな選手は?と聞かれたら、迷わずこの2人の名前を出します。
今後のジュニアを高いステージに持っていく主役であろう高橋ヒロム。
そしてマーティースカルは玄人好みの上手いレスラーという印象でしたが
長く参戦して名勝負を連発する中で、今では大人気のレスラーになりました。
この試合も高橋ヒロム一色に応援が染まると思いきや、正直半々という状態でしたからね。

このマーティースカルもジュニアへのプライドを持っていますし
一度IWGPジュニアの王者になってからは、新日本ジュニアへの愛情を
隠すこと無く彼もまた「ジュニアとヘビー」について考えているレスラーです。

試合は高橋ヒロムが勝利しましたが、これも今年のベストバウト級であり
決勝戦級の試合であったことは間違いありません。

そして試合後、リング上での高橋ヒロムのコメントも素晴らしかった!!

『今回の、この『BEST OF THE SUPER Jr.』2018、『今年の(新日本プロレスの)シリーズの中で一番面白かった』って、『“G1 CLIMAX”より面白かった』って~!!(※大歓声&大拍手) 俺と、(※『SUPER Jr.』出場選手たちのタペストリーを指差し)こ・い・つ・ら・で~、言わしてやるよ(※大歓声&大拍手&『ヒロム』コール)。だからさ、もっと! もっと! もっと! もっと! もっと! もっと! もっと! みんなでーー!! 楽しもうぜーー!!』

新日プロレスで最も人気のシリーズは夏のG1です。
ヘビー級のリーグ戦。もちろん僕も楽しみではありますが
今年のベスト・オブ・ザ・スーパージュニアのこの2日間とヒロムのコメントを見ると
「ジュニア全員でG1を超える大会をする」という「ジュニアとヘビーの戦い」をするのだろうと思ったのです。

直接リング上で試合をする、そんなことよりも「直接対決」の構図ですよ。
これがプロレスが他のスポーツや格闘技と全然違うところ。
究極のところにあるのは『戦わない直接対決』ここでのファンや業界での評価があるということ。

でも実際のところその対決はどうなるの?と。

試合のクオリティで言えば、今回のベスト・オブ・ザ・スーパージュニアなら
全試合名勝負にできるというメンバーが揃っていると思います。

一方でG1の場合は、はっきり言って動けない選手がエントリーされることもありますし
なんだかんだで印象に残るのは優勝決定戦と優勝決定戦に出るための最終戦ですからね。

もちろん、今回はまだ後楽園でしか試合が終わっていません。

新日のG1でもそうだし、ベスト・オブ・ザ・スーパージュニアでも毎年そうですが
基本的に良いカード、好勝負があるのは以下。

・後楽園
・大阪、札幌、福岡のビッグマッチ

それ以外は、力を抜いている試合が多いですからね。
なのでベスト・オブ・ザ・スーパージュニアも結局は最初と最後ぐらいしか
名勝負がないというケースもあるかもしれません。

でも、今年のベスト・オブ・ザ・スーパージュニアとG1の戦いは猛烈に楽しみですね

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