映画ROOM/ルームは「その後」

数々の映画祭で表彰された映画ROOM。
設定上は最近珍しくない「監禁物」ではあるが、内容というか見せたい部分が他の映画と違って、いわゆるホラー映画とかサスペンス映画ではなく、ヒューマンストーリー的な内容なんですよね。

17歳の時に誘拐され納屋に監禁されたジョイ、犯人との間に出来た子供ジャックとの生活は納屋の中だけの小さな世界。
そんなジャックが5歳になった日から話がスタートするのですが、この監禁された世界からの脱出は意外と早い段階でできてしまいます。
なぜならこの映画は監禁事件のその後が本題になっているからなのです。

ジョイとジャックは警察に保護されます、そして世間に報道されます。
これは映画の真ん中ぐらいで起こることであり、ネタバレでもなんでもなくROOMという映画は「監禁されていた親子が外の世界に出た、そこに待ち受けること」というあらすじの映画になっています。

ここからは見ていて辛いというか、考えさせられることが沢山ありました。
そもそも実際の監禁事件でも助かってもその後が大変なんだろうなって思いました・・・

報道されてすぐに本人は特定されますし、メディアに出ればヒーロー扱いされる一報で世間の目は永遠に「被害者の人」として見てくることでしょう。

この映画で言えばジャックは監禁した犯人の子です、世間からすれば好奇の目で見られます。
マスコミの取材に応じるジョイは「お子さんに父親のことはいずれ話しますか?」と聞かれて「父親なんていない!」という回答と態度になりますが、それは精神論であって実際にジャックの父親は犯人、犯罪者、変質者なわけです。

またジョイとジャックはジョイの両親の家に帰るのですが、ジョイが拉致監禁された7年間の間に離婚してしまっており母と今の彼氏と一緒に暮らすことになるわけです。
もちろん父親も駆けつけるのですが、監禁されていた娘、離婚した両親、母の彼氏、娘と犯人の間に生まれた子という5人で食卓を囲んでいる重苦しいシーンは見ていてこっちも呼吸するのを忘れたぐらいでした。

またこの父親や「孫」であるジャックに話しかけることはありません。
離婚した負い目なのか、それとも我が娘を7年に渡り犯していた犯人の息子という見方もできるからなのか、、、
この映画のすごいところはこの父親と娘、孫の関係性をハッピーエンドでまとめるのではなく、特に何も無く終わっていくことですね。
そんな簡単な問題じゃないんだよということが伝わってきます。

さて、僕の感想としては見終わって気持ち良い映画ではないですが見ておくべき映画なのかなと思います。
上記したのは内容の一部ですし、何より最も見るべきである「ジャックの目線」は書いていませんので、この天才子役と言っても過言ではないジェイコブ・トレンブレイ演じる5歳の息子から見た「ROOM」、まさに部屋・世界の変わり方に注目してご覧ください。

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