レスリングどんたくはメインは意外とあっさりした薄味の試合でオカダが棚橋をレインメーカーで倒して勝利。
特に新技が出ることも無く、この試合の使い方によっては棚橋の未来もオカダの未来も作れたはずでしたが「ハイレベルな平凡」という矛盾した言葉が似合う試合となってしまいました。
またオカダが顔がパンパンになってお腹が出てしまっているのを見ると、膝でも壊してしまっているのか?と心配になりました。
次の大阪ではケニーオメガとの時間無制限3本勝負でのIWGP戦となるようですが、そこまでにコンディションを整えるために今回の棚橋戦は体も試合内容も緩ませたのかな?とも思うんですけどね。
オスプレイとクシダの試合の方が個人的には好みで、新日ジュニアの未来を感じる内容でした。
オスプレイは新技でクシダにとどめを刺したことでまた今後の攻防が広がりますし、全体的に寝技・投げ技・飛び技・打撃と見どころが多く、正直メインを食ったと思うんですよね。
でも最近ジュニアのタイトル戦がメインのヘビーを食うなんて珍しくなくなりましたし、新日の伝統であるヘビー優遇・ジュニア冷遇をぶち壊してほしいものです。別に東京ドームのメインがジュニアタイトル戦でもいいぐらいのクオリティがあるわけですから。
その他の試合は、噂のボーンソルジャーが登場。
中身は大方の予想通り元ノアの石森太二でした。
また試合後の内藤哲也を客席から襲撃して騒然とさせたクリス・ジェリコも久々の登場。
内藤を血祭りに上げて盛り上げてくれました、やっぱり世界のジェリコ、何をさせても上手いです。
ところで、このジェリコの乱入というのは当然内藤もわかっています。
プロレスというのは究極の格闘エンターテイメント、死人や半身不随の人間も出るぐらいの戦いがそこにありますが、それはエンターテイメントの中でのことです。これがプロレスの魅力でしょう。
しかし、、、今の時代でもプロレスが勝ち負けも何も決まっていない競技だと思っているファンはいますし、特に近年新日本プロレスブームでファンになった人の中ではそれが少なくないのです。
このクリス・ジェリコの内藤襲撃に関して、レフリーがいわゆるプロレスでは多いカットを内藤にしました。
流血を演出するためにレフリーが選手の額をカッターやカミソリで切るという手法で、これは昭和からずっとある方法です。
通常は場外で鉄柱に頭を打ち付けた後に、セコンドが心配するように選手を囲んで視界を客席から遮断している間に切ります。
でも今回はリング状であまりにも堂々としてしまったここと、なぜかnjpwworldのカメラがそこをアップで撮影しているので、まともにそのシーンが映ってしまったのです。
このため、このLIVEでの大会のアーカイブ映像の配信までかなりの時間がかかりましたし、映像の差し替えなどがあったわけですが、まずこの映像を鬼の首を取ったように拡散している人がいること、それを見てプロレスってそうなの?とショックを受けている人がいることに僕はショックを受けました(笑)
90年代、僕が中学生の頃のプロレスファンより幼いレベルのファンが今のファンの主流になってきているという危険性を感じてしまいました。
またこの客席からクリス・ジェリコが乱入したことに対して「傷害事件、通報した方がいい」とか言うファンがいることにも驚きです。
まさか、何も言わずに独自にクリス・ジェリコが日本に来てチケットを購入して客席に忍び込んでアドリブで襲撃をしたと?
アドリブというか傷害事件的な通り魔的なことをしたと?え、どうやったらそう思えるの?って話じゃないですか。
でもそういうファンが主流になってきているわけで、でもこういうファンに合わせたプロレスをしてしまうと、例えばプロレスがエンターテイメントですよと公言して上場とかしようとしたときに一気に離れる可能性があるわけです。
どんなビジネスでもお客様を教育しないと行けない部分がありますが、今のプロレスブームではそれをしていないので今後の発展には少々暗雲が見えてしまいますし、なので逆にプロレスの見方が成熟している海外向けのビジネスを強くしているってこともあるのではないかと思うんですよね。
サッカーでもそうでしょう?日本のサッカーってサポーターを教育しなかったから、勝っても負けてもわーわー言ってるだけですし、オフサイドのルールすら知らないファン層が試合に負けて泣いていたりするわけですから。結果的に近年、代表も含めてサッカー人気もやや低下しているじゃないですか?
プロレス界で言えば、他の団体は基本的に僕はどうでもいいですし、新日本プロレスとの人気の差が凄いので別物というレベルになっていますが、業界トップの新日本プロレスが今ファンの扱いを間違えると致命傷になると思います。
これはもちろん「みんながみんな」ではないことが前提になりますが、新日本隊(棚橋・真壁・ライガー・田口・クシダなど)が好きな人はプロレスはエンタメでただ娯楽として楽しいよねってノリの人が多いと思うのです。
CHAOSとロスインゴベルナブレスデハポンに関しては、やっぱり雰囲気やルックス、主役感などから女性ファンやライトファン、若い年齢層のファンが多いように思います。あとV系バンドファンと被ってる人も多いかな・・・これ僕もですが、ちょっとプロレスの仕組みを度外視して信者化してしまっているので「負けたからこそ輝く」とかそういうことじゃなく、地方大会でもビッグマッチでも「勝たないとムカつく!」「他の選手を叩け!」みたいなことになりがちなんですよね。
なのでこれはCHAOSやロスインゴベルナブレスデハポンの選手が上手くファンをコントロールしないといけないのですが・・・でもそういうことは選手側はどのジャンルのスポーツでもしないんですよ。
サッカーだってサポーターが暴れても選手は何も言わないですし、プロレスでもそういうものなんですよ。
数少ないところで言えば羽生結弦選手のファンとか、ミュージシャンだとXJAPAN・hideのファンとか「自分の好きなhideに恥をかかせるわけにはいかない」って自主的に行動したりしますけど、基本的にこういうケースは稀なわけです。
まぁ話は少々逸れましたが、ファンの扱いを間違えると危険なのが人気商売。
特にプロレスは見ている人によって全く違う見方をしているジャンルです。
団体のファン、個人のファン、ユニットのファン、エンターテイメントだと思っている人、思ってない人、本気で憎しみ合ってコメントで「ぶっ潰す」とか言ってると思っている人、あぁこのコメントで伏線を回収しているのか上手いなぁというレベルで見る人、本当に様々です。
そして今後予測される最も怖いことが、エンタメではなく決めごとのないアドリブがプロレスだと思い込んだままで、なおかつ目は超えて試合のクオリティを求め出すケースです。
こうなると「何で負けるんだ!もっとトレーニングしろ!」なんてことを好きな選手に言い出すでしょうし、「何でいつもあの技を食らうんだ!お決まりの動きだから避けれるだろ!」とか言い出して、そういう人を中心としたファン層に対してプロレスを見せなくてはいけないです。そうなったら100%人気は下降しますからね、恐ろしいことですよ。
やってることはハイレベルなのに、見ている側が昭和ファンと同じ見方をしてしまっているというこの乖離を何とかしていかないと・・・ここ2年ぐらいで過去とは違う形の暗黒期が来るかもしれません。
ただレスラー自ら「プロレスってのはね?」と説明するのはよくありませんから、別のルートから上手くプロレスの説明をした方がいいと思うんですよ。
考えても見てください、90年代にプロレスの暴露本が出た時にウッチャンナンチャンのナンチャンとか筋肉少女帯のオーケンさんとか、その他にも沢山の有名人が「プロレスってショーだったの!?」とファンを辞めているんですよ(笑)
今から対策をしておかないと、CHAOSファンとかロスインゴキッズとか、ごっそり居なくなる可能性がありますからね。