週プロでの内藤哲也選手のインタビューはEVILの痛いところを突く箇所が多々ありましたが、こういう展開になると本来は大きく盛り上がるはずのカリスマ内藤哲也を中心とした構図なのですが・・・どうにもファンからワクワク感が見えてきません。
いや、もちろん神宮決戦は新日ファンなら楽しみであることは間違いないのですが、指折り数える日々という感じかと言われるとそうでもない空気を感じます。
理由は色々あると思うのです。
コロナ禍の影響で内藤哲也が二冠王として活躍して「二冠王が存在スべき理由」を見せる前にEVILに奪われてしまったことも1つだと思いますし、内藤哲也が言うようにEVILが「BULLET CLUB入りをする際に大きな言葉・インパクトを用意していなかった」ことも1つかもしれません。
ただ、僕の印象として一番大きな理由は「崖っぷちの内藤哲也」というワードなんですよね。
週プロのインタビューでも内藤哲也本人が「確かに俺は崖っぷち」と言っていますし、試合後でもやたらと「自分は今追い込まれている」とアピールしていましたが・・・正直に言うとファンの目から見れば内藤哲也が崖っぷちだなんて思えないわけです。
おそらく本音で言えば内藤哲也本人も自分が崖っぷちだと思っていないでしょう。
それがファンにも伝わってきますが、EVILとリマッチをするということのテーマを作るためにはどうしても内藤哲也が今現在背水の陣である状況でないといけないというところから、説明的にファンに言葉で届かせようとしているからなのではないでしょうか。
新日本プロレスの中では多くの選手がこれまで崖っぷちに立たされてきました。
例えば橋本真也がトニー・ホームに連敗、天龍源一郎に連敗したとき。
武藤敬司が「プロレスが怖い」とまで言い欠場し寺に籠もったとき。
最近で言えばオカダカズチカに対してSANADAの果てしない連敗、EVILの石井・ザックへの連敗、、、また、後藤洋央紀に関しては常に崖っぷちのような状況に自然となっていました。
こと、内藤哲也に関しての崖っぷちは20代でのIWGPをオカダカズチカに鼻で笑われた時、G1優勝(1回目)もファンの支持を得られなかった時からロスインゴ誕生までの間はずっと崖っぷちでした。
それが今ではプロレス界のナンバーワン人気となり、G1を優勝し歴史上初の二冠王となって・・・1回EVILに負けただけで「崖っぷち」と感じるファンはロスインゴ人気以降に新日本プロレスファンになった人の中でもごく一部ではないかと思うのです。
内藤哲也からすれば「どん底時代の内藤哲也を見たことがないファンに対して、内藤哲也が這い上がる姿を見せたい」と思っているのかもしれません。
ただ、それはある程度「逆転の内藤哲也」というテーマで短期間で表現してくれました。
いや、何ならコロナ禍の中断を考えれば、まだつい先日の話しといえるぐらいの話なのです。
EVILが圧倒的強さで内藤哲也を倒したわけでもありませんし、何かこうEVILの行動に伴ってベルトが動いたというぐらいにしかファンも見ていない中ですから何度内藤哲也が「崖っぷち」だと自身を表現してもファンはそう思いません。
そしてこれは内藤哲也の絶大な人気も足かせになっていて、内藤哲也が常に最強で常に1番!というファンがこれほどまでに増えてしまったことで誰も内藤哲也がベルトを失ったからどうこうという価値観で見ていないこともあるでしょう。
これは内藤哲也が「俺はベルトを超えた存在である」という見せ方をしてきたツケのようなものであり、この言葉のせいでIWGPが遠のいていると以前私はブログに書いたこともありますがそれに対しての「二冠」であれば内藤哲也と同等の価値があるという物語があるからこそ内藤哲也の二冠王には大きな意味があったわけです。
しかし、内藤哲也も予想外だったのか予想内だったのかわかりませんが「二冠」すら内藤哲也個人が超えている(と見ている熱狂的なファンが多い)ことによって、二冠を手にしていようが奪われようが不幸なことに内藤哲也は制御不能のカリスマだったのです。
EVILを倒して二冠を取り戻したとて、内藤哲也が手に入れるのは「インターコンチネンタル最多戴冠記録」で中邑真輔と並んでいる記録を超えるぐらいのこと。
こう考えるとこの緊急事態に新日本プロレスが内藤哲也に全て背負わせた印象なんですよ。
EVILではなく内藤哲也なら何とかしてくれるであろうというそんな荷物を背中に乗せた印象が非常に強いです。
だからこそ内藤哲也には勝っても負けても神宮でこれから新日本プロレスが進む先、内藤哲也が進む先を見せてほしいと思いますし、内藤哲也であればそれを見せてくるものだと思います。
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