EVILは2015年10月12日に内藤哲也のパレハとして新日本プロレスに凱旋しました。
一人ロスインゴだった内藤哲也の最初のパレハであり、内藤哲也とともに初期ロスインゴの荒々しさを見せつけた存在であったEVILはTwitterのアカウントに「@151012EVIL 」と日付を入れるなど「内藤哲也とのロスインゴ」への思い入れの強さを隠そうとしていません。

そんなEVILと内藤哲也の物語は...ロスインゴのメインストーリーではありませんでした。

やはりロスインゴ=内藤哲也という主軸がありますし、その上で内藤哲也とBUSHIの長年の関係性、高橋ヒロムとの師弟関係、鷹木信悟とのプロになる前からのライバル関係・・・そして、SANADAとは団体を超えたライバルとして比較されてきた関係性。

その中で内藤哲也とEVILの関係性と言えば、EVILが若手時代に内藤哲也への弟子入りを断られているというエピソードぐらいのもの。

もちろんそのEVILが内藤哲也のパレハとして登場したところから実質的なロスインゴがスタートしたという物語はあるわけですが、それはロスインゴの物語の中では小さなエピソードぐらいになってしまったのが現実です。


この日、EVILの決意の目は本物でした。
ただ・・・EVILが目指していたロスインゴの形は長く続かなかったのでしょう。

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形を変えた制御不能の姿、EVILの居場所はロスインゴになくなっていった。

制御不能という言葉も印象が変化していきました。
当初の何をしでかすかわからない、ヒールなのか何なのかという括りも無く荒くれていた制御不能を経て、今では内藤哲也と高橋ヒロム・鷹木信悟が楽しそうにやんちゃに暴れるという明るい制御不能になりました。

闇の王・キングオブダークネスEVILからすれば...今のロスインゴはあまりに眩しすぎたのではないでしょうか。


そう考えると鷹木信悟が加入し・高橋ヒロムが復帰した時点でEVILにはロスインゴに居場所がなかったのではないか。
光が強くなれば影も大きくなるものではありますが、もう影が見えないほどに輝いているロスインゴ(特に内藤・ヒロム・鷹木)の中ではEVILの"闇が輝けない"状況だったのではないか。

それなら対峙するしかない。

決断はとっくの昔にしていたのではないかと思いますし、EVILと内藤哲也のロスインゴはとうの昔に存在していなかったのではないでしょうか。

7月11日、この日の内藤・ヒロム・鷹木の出していた雰囲気こそEVILからすれば「腐ってる」「虫酸が走る」ということだったのかもしれません。

もちろんEVILと高橋ヒロムの関係性など誰にも切れないほどの友情は根底にあることでしょう。
ただ、高橋ヒロムの口から「IWGPを手にしてEVILと防衛戦をしたい」というような言葉も出ることはなく、やはりどこかでEVILは孤独だったように思えてならないのです。

高橋ヒロムがベスト・オブ・ザ・スーパージュニアを勝利したときに、何か目が潤んでいるかのようなEVILの表情などを思い出すと・・・彼の持つロスインゴへの愛・メンバーへの愛は間違いなく強かったはずです。

愛ゆえにロスインゴを離れた、そんな印象すらあります。

もちろんEVIL自身にも問題はあったのだが...
ちびっ子に応援され、反則攻撃をすれば実況席から絶賛される闇の王という地獄

ただ全てをロスインゴの責任にはできないでしょう。
ロスインゴのメンバーが増えていき埋もれていったのは自己責任でもありますし、当初の勢いから停滞ムードになったことで石井への連敗・ザックへの連敗、そしてジェリコに試合をぶち壊されるなどがあったはずです。

「IWGPタッグの価値を上げる」など大口を叩くと途端に負けるという流れもある意味ではEVIL自身が生み出したこと。

そうこうしている間にロスインゴでのポジションが下がり続けて行ったことは実力勝負の世界において仕方がないことでもあります。

ただEVILのキャラや存在を浮かせてしまったのはロスインゴの空気が変わったことへの影響が大きいでしょう。
挙句の果てには「闇の王」がイスを使おうが何をしようが子どもたちから「イービルーーーがんばれーー」と声援が出てしまうほどのロスインゴ人気は逆にEVILの存在を消す物でしかなかったのではないでしょうか。

もちろんこれも「ヒールファイトをしているのにブーイングを生み出せないEVILの責任」でもあるのですが・・・

例えば棚橋弘至・オカダカズチカ・内藤哲也は「今日は自分がヒール的になってブーイングを引き出そう」ということを自由自在にできるわけです。

ただEVILはそれができなかった。
ちびっ子に声援を送られ、反則攻撃をすればなぜか実況席が絶賛する・・・それがキングオブダークネスEVILの現実でした。

ランス・アーチャーはちびっ子を泣かせていました。
タイチはどれだけ人気になっても反則をすればブーイング&実況から批判。

EVILのキャラにおいて最も大きな障害になったのが「ロスインゴ人気」だったのでしょうし、それを跳ね返してロスインゴの中で唯一ブーイングを浴びる存在になれなかったのはEVIL自身の問題だと言えるのではないでしょうか。

内藤哲也との二冠戦は『EVILがEVILに戻るための試合』

EVILにとってIWGPとICの二冠を手に入れること以上に重要なのが内藤哲也との試合でEVILがEVILである理由を取り戻すことでしょう。
それができないなら渡辺高章に戻る道しか残っていない、それがEVILの現在地です。

BULLET CLUBの力も利用してしっかりとしたヒールに戻る戦い。
それはEVILが主役の物語の始まりになるのではないでしょうか。

そして、それと同時に内藤哲也とEVILの本当の物語がやっと始まるのがこの試合であると思います。

クリス・ジェリコに暴行される内藤哲也を真っ先に助けに入ったEVIL。
一方でEVILが内藤哲也を襲撃した昨日、ロスインゴは全員で助けに入りました。

これまでに起こった色々なことが今に繋がっていくのがプロレスの世界。

そして結果次第では過去すら変わるのがプロレスの世界。

EVILがロスインゴを裏切ったのか、それともロスインゴがEVILを裏切ったのか。

そんな見方で観戦しても面白い試合になるのではないでしょうか。


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