東日本大震災から1ヶ月後、棚橋弘至は「この時代に生まれて感謝」と叫びエースとなった

2011年、東日本大震災後の新日本プロレスについての話題が新日本プロレス公式スマホサイト『(帰ってきた)コラム・アルティメットロワイヤル』に掲載されているのを読みまして、鮮明にあのときの記憶が蘇ってきました。

思い返せばまず全日本プロレスの選手はまともに被災を受けていたりしていて、バスの時間が少し違ったら...終わっていたかもしれない状況だったと聞きます(確か誰かが遅刻したから全員助かったとか)。
そして日本全体でも国家の存続の危機レベルの状況でしたが、新日本プロレスは震災から2日後の静岡大会を開催。

これはファンからも賛否両論ありましたが、新日本プロレス社内でも賛否両論があったとのことですがそれは当然ですよね。

余震が続く中、原発の問題もある中で家族を置いていくことはレスラーの中からも反発があったことも想像できますし、そもそも今プロレスをやるべきなのか?という疑問は誰しも持っていたはずです。

さて、この静岡大会を行ったことが新日本プロレスの復活への道だったという声もあります。

ただ、、、これは運が良かったという部分もあると思うのです。
お忘れの方も多いかと思いますが、311の東日本大震災の直後から日本中で大きな地震が起こりました。
M9の規模の地震ですから様々なプレートや断層に影響を与えたことは想像に難くないわけですが、実際に3月15日に静岡県東部地震が起こり震度6強の揺れがありました。

新日本プロレスの静岡大会は3月13日ですから、地球規模の時間の流れで考えれば誤差です。
万が一に静岡大会中に起こっていたら、新日本プロレス復活への道は現実よりも遠くなっていた可能性もありました。

東日本大震災が起きてから長野県、静岡県と大きな地震が南下している中、3月19日の愛知県体育館大会に・・・私は行きました。

試合で覚えているのはIWGP Jr.ヘビー級選手権試合があったというだけぐらいです。
そしてプリンス・デヴィットのオーバーヘッドキックを脳天に受けたKUSHIDAがとんでもない量の鼻水を吹き出し、私の後ろにいた女性が「汚っ」とつぶやいたことぐらいしか覚えていないほどに、心ここにあらずでした(苦笑)

ただ、その日の大会後に棚橋弘至選手のお食事会がありまして、それもどうなんだろうと思いながら参加したのですが、エースの面白さ、暖かさ、ものすごく暗い時期なのにその瞬間は明るさに溢れた空間を作ってくれたことで、その瞬間だけは何もかも忘れて楽しめたことを覚えています。

レスラーから溢れ出るパワーって凄いなと思いましたし「あ、新日本プロレスやってくれてよかった」って思いました。

当時まだガラケーでしたので画質最悪ですが、棚橋弘至選手とまだヤングライオンの高橋ヒロム(当時は広夢)選手との写真が残っています。


棚橋弘至選手とはエロい話ばかりしていました(笑)
高橋ヒロム選手は「IWGPジュニアを絶対に取ります」と未来が見えないこんな時期に力強く話しておられて、そしてそれを実現したのですから・・・本当に凄いですよね。

さて、ここからもまだまだ余震が続き原発の問題があり、見通しが立たない4月3日、後楽園ホールでIWGPヘビー級選手権試合が行われました。

新日本プロレスのエースは、最悪の時代に力強く「みんなと同じ時代に生まれて、この空間を共感できたことを感謝します」と叫んだ。

永田裕志との壮絶な激闘。
また新日本プロレスが今のようにお客様が入らない時代に満員の後楽園ホールとなったエネルギー、熱量。
何かに縋りたいと思うプロレスファンがエネルギーをもらったのはやはりプロレスでした。

試合後、IWGPを手に棚橋弘至は言いました。

「俺は、今日この場所で、みんなと同じ時代に生まれて、この空間を共感できたことを感謝します!」

多くの人が「なぜこんなことがある時代に生まれてしまったんだ」と考えている中で、『みんなと同じ時代に生まれて、この空間を共感できたことを感謝します!』と叫んだ棚橋弘至の言葉にどれだけの人間が希望をもらったでしょうか。

僕の中で棚橋弘至は永遠にエース。
それはこの日に決まったような気がするのです。

・・・さて、ただプロレスは逆境・ピンチに強いコンテンツというのはわかるのですが、今回のコロナウイルスに関しては少々状況が違うかもしれません。

つい先程も産婦人科で働いている看護師さんがコロナウイルスに感染していたということですし、拡大が止まる目処が立っていません。

万が一に新日本プロレスの会場に感染者が来ていたら、、、対処の方法が無いわけです。

ただ、このピンチを乗り越えることができればプロレスというのは更に強いコンテンツになっていくことでしょう。

奇しくもあの時と同じ時期。
カウント2.9から先、どう見せてくれるのでしょうか。


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