
内藤哲也とKENTAの戦いを見ている中でこの二人がどこか似ているという印象を持ちました。
そこでロスインゴ当初のブーイングにまみれていた内藤の2015~2016年を振り返っていました。
G1での柴田戦で敗れた内藤。
その内藤に対して『たいした覚悟もねえくせに、人のこと、ああだこうだ言いやがって。』とコメントを残した柴田ですが、この部分を見て思うのはKENTAは今、ロスインゴファンに対してこの柴田の発言を実行しているような印象がありますね。
次に棚橋弘至に勝利した内藤哲也。
試合後にマイクを握ると大ブーイングが巻き起こりました。
そこでファンを挑発し、試合後にはトランキーロを何度も繰り返してメディアを煙に巻くような行動をしていましたね。
その勢いのままAJスタイルズも倒し、ここでも大ブーイングを浴びる内藤哲也。
そして真壁刀義に敗れると「俺がヒールかベビーか?そんな狭いワクに、俺をはめようとすんな。」と、あくまでも俺は俺、俺をコントロールできるのは自分だけというような主張をしていますが、これは先日のKENTAがファンに対して口にした「俺のプロレス人生をお前らが決めるな」と意味合いが近いです。
ただ、この頃の内藤哲也は主張らしい主張はそこまで見えませんでした。
天山広吉に負けた後も「やれやれだぜ。天山、良かったじゃん。最後に、名誉挽回できた? 客も喜んで、ハッピーじゃん。良かったじゃん。お疲れさん、天山。さっ 俺は帰ろうかな」などと勝ち負けなんてどうでもいいような感じでしたし、いろいろな選手が内藤に対して「中途半端」「覚悟もないくせに」というような言葉を使いました。
この年度のG1の主役は中邑真輔でありオカダカズチカであり棚橋弘至であり、ファンからすれば内藤哲也は「口だけのヤツ」という扱いでブーイングを送り続けていましたし、内藤哲也の言葉にそこまでのパワーはまだありませんでした。
では、どの辺りから内藤哲也は今のカリスマ的人気を手に入れる転換期を迎えたのでしょうか?
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ロスインゴ初期の内藤哲也はブーイングに包まれていた
G1後の内藤哲也は柴田勝頼との抗争に足を踏み入れました。
それでもシリーズとしては前半戦の多人数タッグばかりで、第1試合でジェイ・ホワイトと組んで当時の小松や田中と戦うような位置でまだまだもがいている選手でした。
その柴田に勝利した内藤哲也は権利証保持者の棚橋弘至から逆指名を受けます。
棚橋が内藤の名前を出したことをマスコミから聞いた内藤は『俺が挑戦しろって?ふざけたこと言うなよ。G1で勝ったの俺だぜ。G1の優勝者だか新日本のエースだか知らねえけどやりたいんだったら、前から言ってこい。お前がチャレンジしてこい。』とコメント。
G1中には「トランキーロを流行らせたいだけ」のようなコメントを連発していた内藤ですが、ここへ来て突如「確かに」と思えるコメントを出しました。
ただ、この試合に負けた内藤は「EVILのお披露目だけが目的だった」「おれは耳たぶを怪我したから欠場する」などまたしてもファンからの批判を浴びることになりました。
今では「俺は今の内藤哲也を見せたいから休みたくない」というスタンスですが、元々のロスインゴ内藤哲也は全く違う主張だったんですよね。
棚橋弘至に対してマスコミが「棚橋選手しか見えていなかった内藤選手と、ドームの先まで見えていた棚橋選手の差が出てましたが?」なんて質問をするぐらいに内藤哲也はマスコミにもまだ舐められていました。
余談ですがこの時のEVILは「イーブル」と文字にされている媒体が多かったです(笑)
さて、ファンの中では「内藤のヒールターンは望んていたけど、なんだか滑りそうなだ」と思われている中で始まったワールドタッグリーグから空気が変化してきました。
ワールドタッグリーグ中に飛び出した内藤哲也の天才的なコメント
ワールドタッグリーグにEVILと参加した内藤哲也。
この初戦で欠場中のBUSHIが登場しロスインゴに加わるというサプライズがあり、何かが起こりそうなワクワク感が出てきました。
初戦を勝利した内藤は「IWGPタッグチャンピオンに勝った。だからなんだって?これは別にタッグチャンピオンに勝つためのリーグ戦じゃないんだよ。前年度優勝に誰が勝つかって決めるリーグ戦でもないんだ。これは『WORLD TAG LEAGUE』だ。」と、今も昔も盛り上がりが落ちるワールドタッグリーグに対しての正論を吐くことになります。
まぁそんな中で小島聡から『内藤、お前、何年前のヒールやってんだよ!テメェがやってることは全部俺と天山が20年前にやってたことだ! 急所攻撃?毒霧?そんなこと今さらお前ら何我が物顔でやってんだ ふざけんじゃねえぞ!こんなんで済むと思うな。』とキツイことを言われてしまい、ファンも「そうだよな」「武藤NWOがやりたいのかな」という空気になってしまいました。
このワールドタッグリーグは最終戦で負けてしまい優勝は真壁本間となりましたが、内藤哲也の運命を変える一言はその1つ前の試合、柴田後藤組との試合後のこのコメントだったと思います。
これは、別に東京ドームのIWGPタッグ選手権試合のチャレンジャー決定リーグ戦じゃないからね。何でここで、“優勝・イコール・東京ドームで挑戦”って結びつけんの? そんなんだからさ、『ドームでカード決まってる選手は、タッグリーグどうせ手抜きなんだろ?』って言われちまうんだよ。まあ、もう片方のチームは知らないけどさ、俺たちはここで宣言するよ。俺たちが優勝しても、東京ドームでは挑戦しません! 俺らが挑戦しちゃたら、それこそほんとにドームでの挑戦者決定リーグ戦になっちゃうからね。ドームでは挑戦しないよ。
ファンが思っている『ドームで試合が組まれている選手はワールドタッグリーグで優勝しないだろう』という暗黙の部分を、『どうせ手抜きなんだろ』という表現で「だから優勝できないんだよ」という理由を作った上で、ファンが思っていることをプロレスの仕組みを崩さずに発言したこの瞬間。
ここで一部のファンは「内藤は凄いことを言っているのでは...」と考えたわけです。
そして東京ドームの後藤戦へ向けて「キャプテンクワナ」というワードで後藤をバカにし続けて・・・東京ドームでは負けてしまうわけですが、鋭い正論と相手をバカにしていくというスタイルが徐々に確立されてきたのが2015年の内藤哲也でした。
中邑真輔退団&オカダカズチカ2億円プロジェクトに噛み付いた内藤哲也が一気に支持を集めた転換期
年明け2016年、ここで内藤哲也の発言力というのは一気に強くなりました。
まず中邑真輔のWWE移籍に関して、新日本プロレスが暖かく送り出して涙・涙の感動的な状況が生まれている中で『新日本プロレスを捨てたようなもんでしょ?なんで壮行試合とかあるの?』とバッサリ。
感動ムードにケチをつけたようにも見えましたが、これも一部のファンには「その通りだよな」という共感を生みました。
そしてオカダカズチカの2億円プロジェクトと呼ばれたあの件にも内藤哲也は噛みつきます。
木谷オーナーの『オカダ選手を徹底的にスターにします。プロジェクトとして2億円レベルの話がある』という発言に関して『オカダを徹底的にスターにするんだってさ。あっそ!好きにやってよ。勝手にやってよ。でもさこれって要するに新日本プロレスの全レスラーに対して、今後、このリングでどんだけ頑張っても! オカダの上には行けませんっていうことですか!? そうやってオーナーが認めちゃってるの!? オーナーが言うってことは、新日本プロレスが言ってるのと変わらないからね。あぁ、そうですか。まあ何でもいいけどさ。オーナー、トランキーロだぜ。カブロン』と発言します。
これに関してもオカダカズチカの存在と新日本プロレスの急上昇に浮かれていたファンは「確かにそれはおかしいぞ」と思うようになりましたし、会社に対してバシバシと正論をぶつけていく内藤哲也の姿に心が動かされていきました。
その後、介入有りでしたが内藤哲也はIWGPを初戴冠するまでになったわけですが、この時点ではかなり内藤哲也の動きや発言にファンが増加してロスインゴの人気の基礎が完成されたと言えます。
この一連の流れを振り返ると、G1に突如参戦してファンに受け入れられなかったKENTAとG1で突如制御不能となりファンにブーイングを浴びた内藤哲也という状況から相手を批判&正論を繰り返してブーイングの中に歓声が混じり始めるという状況は似ているとも言えます。
一方で内藤哲也が会社批判をしていたことに対して、KENTAはファン批判をしているわけですが、これがどちらも正論という点も類似しているポイントかもしれません。
もちろんKENTAに関しては「大人気の内藤哲也とロスインゴファンに喧嘩を売った」ことや「NOAHアレルギーがまだ残る新日本プロレスファンの中で」という状況がありますが、内藤哲也の2015年からを見てきた新日本プロレスファンにとっては何か懐かしい匂いを感じてしまうところもあります。
特にプロレスファンは体制に対して噛み付くレスラーが好きですし、今やロスインゴは体制側と言えるぐらいに力を持っているわけですからKENTAの今の言動というのはこの先に何かを動かす可能性も十分にあるのではないかと思います。
ただ、大阪での試合次第というところはありますけどね・・・
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