北海道の地で飯塚高史とアイアンフィンガーを本当の意味で成仏させたタイチ。
タイチ&飯塚高史と内藤哲也、冬の札幌で起きた物語の結末はカリスマ内藤哲也を生贄としたアイアンフィンガーフロムヘル葬によって一応の幕を閉じました。
飯塚高史は平成の終わりも近づいた2月21日の後楽園ホール大会で引退。
天山広吉が必死に正気に戻そうと最後まで頑張り、一瞬「飯塚孝之」に戻ったかのように思われましたが、最後はアイアンフィンガーフロムヘルを叩き込み、そしてアイアンフィンガーをリングに残したまま引退の10カウントゴングも無く去っていきました。
この一連の行動を複雑な表情で見ていたタイチは、飯塚が去ったリング上で「オイ、飯塚!飯塚!待てこの野郎!お前よホントに引退するのかどっちなんだよ?最後ぐらいテメェの口からハッキリ言えこの野郎!」と絶叫。
キャラ的なことを考えると素晴らしくやり切った飯塚でしたが、ファンに向けて話したい言葉だって沢山あったことでしょう。
それに対してタイチは「本当にそれでいいのか?」と問いかけたのだと思いますが、その表情は怒りと悲しみが混ざった複雑なものでした。
そして試合後のタイチはこのようなコメントをしています。
もしかしたら、(アイアンフィンガーを見つめながら)俺と天山が探していた飯塚の心っちゅうのは……そんなわけねえか。まあいいよ、これは俺がもらうよ。そうだ、飯塚、お前は引退した意思はねえんだよ。いつでも俺が持ってるからよ。これをハメたくなったら俺の所に来いよ。いつも持ち歩いてやっから、いつでも。戻って来いでも復帰でもねえ。いつでもまた入って来いよ、あん時の札幌みたいによ。カッコよかったぞ。待ってるぜ。
飯塚の心はアイアンフィンガーそのもの。
「ハメたくなった俺の所に来いよ」とメッセージを送っていましたが・・・飯塚の成仏できない心が地元北海道大会に来て「タイチの所に来た」ということなのでしょうか。
試合後にアイアンフィンガーを手にしてロープを噛むタイチの姿は飯塚が憑依したとした思えない姿でした。
「これが『G1 CLIMAX』だ、この野郎!」
ついにアイアンフィンガーが炸裂!
タイチワールドの前に、内藤が撃沈…!!☆新日本プロレスのスマホサイトで7.15 札幌大会を独占詳報中!
⇒https://t.co/diFmRb08ir #g129 #njpw #北海きたえーる pic.twitter.com/gUPA6ilsxF— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) 2019年7月15日
本当に成仏したのはタイチ自身が背負っていたモノなのかもしれない
タイチをヘビー級へと突き動かしたのは内藤哲也。
その内藤哲也とタイチが昨年の旗揚げ記念日で戦った時に、内藤はタイチの頭にマイクスタンドを振り下ろすという攻撃を見せました。
その試合後にタイチは「我がの武器に負けただけだよ!だがよ内藤、これで分かったよ、これで分かった。響いたよ。闘い教えてくれてありがとうよ。」と発言し高笑いをして去っていきました。
そして今回は自分の武器ではなく人の武器であるアイアンフィンガーで内藤を倒したわけですが、これでタイチが背負っていた飯塚への思いと内藤への思いを成仏させることができたのではないか?と思います。
これでようやく「自分がやりたいことをやるタイチ」が誕生するのかもしれません。
1歩踏み出す勇気どこか大股開きで3歩踏み出すぐらいのタイチが見れる期待を持っていいのかもしれません。
現在2連勝中で勢いに乗る石井との戦いは両国国技館で行われます。
恐らく多くのファンが「優勝決定戦への道とは関係ないが、タイチが勝てば秋にNEVER挑戦となるチャンスが生まれる試合」と考えていたと思いますが、石井が全勝してもおかしくない程の勢いがある上にタイチがインターコンチネンタル王者の内藤に勝利したことで秋は内藤への挑戦となる可能性が急激に上昇しているという現実から、ひょっとしたらタイチの夏になる可能性も十分考えられるのではないでしょうか。
棚橋弘至の愛に疑問とヒントを得ていたタイチ
ところで、昨年のその旗揚げ記念日から数日後のニュージャパンカップにタイチはエントリーしており初戦の相手が棚橋弘至でしたが、その前哨戦の時にタイチは「愛ゆえに人は苦しまねばならない。人は、悲しまねばならない。愛など必要ない!この俺、この聖帝には、愛など必要ない。愛があるからこそ、全ての人間が狂うんだ。」と愛を叫ぶ棚橋に対して物申していました。
しかし棚橋弘至に敗戦をしてしまい、試合後にこのように発言をしています。
「棚橋弘至に聞きたいことがある。愛は、愛は人を苦しませる。愛は人を悲しませる。愛は人の思いを狂わせる。なのになぜそんなに、お前は愛を叫び続ける。なぜ、棚橋弘至は愛を叫び続けるんだ?」
そして「棚橋、わかった、わかった。ヘビー級の闘いがわかったよ。後悔すんな。俺にこの闘いを教えて。」と、愛や温もりの大切さについて考えたような発言もしています。
まさにこの半年間のタイチは飯塚への愛を胸に、そして札幌ではアイアンフィンガーで手に温もりを感じて戦いました。
「愛があるからこそ、全ての人間が狂うんだ。」
この言葉通り、愛ゆえにタイチは飯塚の狂気に狂ったかのような戦いを見せました。
それだけではなく、最近は対モクスリーや外から簡単に参戦してきた選手に対して「新日本プロレスへの愛ゆえの言葉」を多く口にしていますし、少し前の石井との戦いでは暗黒四天王へのある種の愛を見せてきたタイチ。
またファイトスタイルも師匠の川田利明を思わせる動きが多く見られることで師匠への愛も溢れ出ています。
もちろん鈴木軍の仲間である金丸やデスペラード、ザックに対してや自分の周りに存在する仲間への愛なども溢れんばかり。
愛を叫びはしません、しかし愛が溢れ出ている聖帝はこの夏の台風の目ではなく台風そのものになるかもしれません。
そして多くのファンが期待しているであろうタイチが中心となる新ユニット誕生ということなども含めて、色々なことが実現していくような予感がします。
プロレスランキング