タイチが口にした『飯塚高史』の名前とその後の行動によって、内藤哲也の入場時から緊張感が高まった札幌大会のメインイベント。
内藤は入場時に何度も後ろを振り返る素振りを見せていましたが、それによって「ということは後ろじゃない、客席か?リング下か?それとも試合中か?」とファンは想像力を膨らませることになりました。
ある意味ではタイチと内藤の二人が共同で「想像する楽しみ」を与えてくれた試合でしたが、その真意は予想外のところにありました。
タイチはタイチらしく、内藤は内藤らしく。
この二人らしい試合を繰り広げている中、タイチがアイアンフィンガーを手にすると「来い!来い!」と誰かに合図をしました。
それに反応したヤングライオン達が飯塚出現に備えて花道に移動したところで、何とタイチがアイアンフィンガーを装着して内藤に攻撃をするも内藤はそれを回避。
こうなると「結局何だったんだ?」と頭の中で疑問が出てくるのですが、そんな疑問を考えている時間が勿体無いほどに強烈な技の攻防が繰り広げられ、タイチは何と三冠パワーボムを繰り出す!
(これがあまり盛り上がらなかったのは、三冠パワーボムを知っているファン層が会場に少なかったのだろうか?)
飯伏幸太は内藤を倒すためにタイガードライバー91を出しましたし、タイチは内藤を倒すために三冠パワーボムを出した。
カリスマとして多くの人を引き寄せる内藤哲也に四天王の遺産まで引き寄せられてきていると思うと、これは不思議な気持ちになりますね・・・
さて、試合が大きく動いたのは、内藤のフライングフォーアームが海野レフェリーに直撃してレフェリー不在になってからでした。
100キロの人間が全力で直撃したダメージは相当なものでしょう・・・
アイアンフィンガーフロムヘルが内藤哲也を貫き、飯塚高史が本当の引退へ
レフェリーがグロッキーの中、天翔十字鳳なのかソバットなのか?兎に角強烈な蹴りを叩き込むとアイアンフィンガーを三度装着して内藤哲也の喉元にまさにフロムヘルと言わんばかりの強烈な一撃を叩き込む。
そして飯塚に届けとばかりの雄叫びからタイチ式ラストライドを叩き込むと川田利明を彷彿をさせるフォールでついに3カウントを手にしました。
反則攻撃からの勝利ではありますが、内藤も一応金的を入れたりしていましたし・・・完勝ではないにしても、勝ちは勝ちという結果だったと思います
そして、試合後のタイチからアイアンフィンガーを使った真意が・・・
「俺と飯塚の戦いは冬のまま続いていたんだよ、これでこいつも成仏できるだろうよ。ほんとにあいつが引退したってならそうかもしれないな、今日で。」
冬の札幌の事件、あの日から続いていたタイチと飯塚と内藤の戦い。
それにピリオドを打つアイアンフィンガーフロムヘルと勝利、そしてアイアンフィンガーは成仏し飯塚高史は本当に引退をした。
これを語っている時のタイチの真面目な表情と少し悲しそうな目が印象的でしたが、その後は冗談っぽく「これからも持ち続けるよ、今日は来なかったけど、まだどこかで来るかもしれねぇから」と飯塚の復活を予告していましたが・・・いや、この試合で飯塚高史は成仏したことでしょう。
こういう表現をリング上で見せたのはタイチぐらいでしょう。
新しいというか斬新というか、ちょっと臭い感じもしますけど青春すら感じる1つの物語だったなぁと。
タイチが一歩踏み出す前に決着をつけなくてはいけなかったのはこれだったのかもしれません。
2連敗の内藤哲也、星勘定だけではなく脇腹も心配
アイアンフィンガーフロムヘルを食らう前に内藤の動きが完全に止まったソバット気味に入ったカウンターの天翔十字鳳ですが、恐らく内藤は顔面に飛んでくると予測して顔をガードしていました。
しかしタイミングが合わなかったのかタイチがバランスを崩したからなのか、それとも狙ったのかもしれませんが直撃したのは内藤の脇腹の辺り。
これにはタフさが自慢の内藤も脇腹辺りを抑えて悶絶。
暫く動けないぐらいの状態だったので一瞬呼吸ができなかったのか、それとも肋骨を負傷したのか・・・?とかなり心配です。
オスプレイも首を怪我して本日は欠場していましたが、内藤は優勝候補と言われている中で2連敗しただけでもかなり厳しい展開なのにこれで負傷までしていたら絶望的な状況になってしまいます。
逆にタイチはインターコンチネンタル王者を倒したのですから勢いに乗ってくるでしょうし、G1以降にインターコンチネンタル挑戦に当然名乗り出るでしょうからこの勝利はかなり大きい価値を持ちますね。
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