レインメーカーVSペインメーカー|Rainmaker vs Painmaker

オカダカズチカに宣戦布告したクリスジェリコですが、このPVのゾワゾワする感じが癖になり何度も見ていました。
映画SAWを思う出すような蛍光灯とピエロ、そしてピエロと言えばペニーワイズですがそれに少し似たメイクをしたジェリコがオカダに告げる「俺はオマエに苦痛を与える男だ」という言葉。

この部分、最初は字幕に気を取られていますがどうやら「ペインメーカー(Pain maker)」と自らを呼んでいます。
なるほど・・・と。レインメーカーに対して痛みを作る、痛みを降らせるペインメーカーということなんですね。

相変わらずこのクリスジェリコの発想は天才的です。

ケニー・オメガとの戦いの時は頂点であり始まりのアルファ(α)と終着駅のオメガ(Ω)という構図に持っていきましたが、今度はレインメーカーとペインメーカーですから盛り上げ方のセンスがやはり世界のスーパースターです。

またこの映像のピエロとジェリコのメイクに関しては偶然かもしれませんが、昨年の秋に僕はオカダが風船を持って入場することにこだわっていた時に「オカダ・カズチカ、ペニーワイズ説」なんてことを書いたことがありましたが、結果的には陽気な風船お兄さんだったオカダに対して「本当の恐ろしいピエロというのはこういうことだ」と言わんばかりにみえるんですよね...

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変化を恐れないクリスジェリコと進化するオカダカズチカ

このタイミングで1月8日に新日本プロレスに掲載されていたクリスジェリコのインタビューを読み直しました。
時間的にズレがなく同時進行で世界に向けて発信するということをジェリコが架け橋となり、世界から新日本プロレスが注目されたと。
そしてそれを通して「アメリカ・世界の人がオカダ・内藤・棚橋・鈴木みのる・飯伏・石井らのハイレベルなプロレスを見てシビれた」という発言もありました。

この時にオカダの名前を出しているジェリコですが、仮にIWGPを手にしたら挑戦者は残りの戦ってない中から出てくるのかもしれません。

この世界的なムーブメントをデザインしたのは自身であり、ハルクホーガンがリインベント・マイセルフ(再構築)したようにジェリコもキープ・リインベント・マイセルフ、自分自身の再構築をし続けいるからこそ変化を起こしていると。
なので例えば内藤を襲撃した時はケニー戦の時のようなキラキラしたショートタイツではなくクレイジーなイメージになったと。

クリスジェリコというレスラーは変化を武器にできる、そして変化を全く恐れていないという存在なんですよね。
こうなるとオカダの前に登場するジェリコがどういう状態なのか?ということもとても気になります。

もちろんオカダカズチカは進化を続けています。
マディソンスクエアガーデンでさらに進化し、SANADAとの戦いでも進化したはずです。

オカダの進化力とジェリコの変化力の戦いという構図も楽しみです。

チャンピオンベルトはただの小道具ではない

チャンピオンベルトに対する思いに関してはとても真摯です。
プロレスにおけるチャンピオンベルトを単なる小道具だと思っている人がいるし、確かに小道具だけれど「プロレスはチャンピオンシップを巡る戦いでそこにあるのがチャンピオンベルト、プロレスに一番重要なものがベルトなのだから王者は常に巻いていないといけないし、それを粗末に扱う内藤はバカだ」と。

まぁ内藤のベルト破壊は賛否両論ありましたが、あれはあれで「一番重要なものを粗末に扱うことでしかできない表現」もあったと思いますが、あれだけ無茶苦茶なジェリコがチャンピオンベルトに対してのリスペクトは誰よりもしているというのも面白いですよね。

ジェリコいわく「チャンピオンとチャレンジャーを明確にするために自分はベルトをつけて乱入した、これはチャンピオンシップを争う戦いなんだと視聴者と確認する作業。レスリングビジネスで一番重要なのはチャンピオンシップなのだから粗末にするのはありえない」ということですから、そもそも「ベルトを超えた存在が内藤哲也だ」と言う内藤とジェリコはこの点では永遠に平行線なのかもしれません。

このインタビューでは内藤に対して辛辣なコメントが多かったです。
「俺をピークが過ぎたレスラーと言うがその相手に負けた、もう少し頭を使って発言したほうがいい」なんてことも言っていますが、それでも内藤に目をつけたのは「傲慢で自信がありマイクもできてホンモノだと思った」からであるとも発言しています。

そしてIWGPヘビー級王座のチャンピオンになるということも目標であるともしっかり言っていたわけですが、チャンピオンベルトも新日本プロレスもリスペクトしているクリス・ジェリコが仮にIWGPを手にした場合にどのような世界観を見せるのだろうか?ということはとても気になります。

レインメーカーならぬペインメーカーがオカダに痛みの雨を降らせることが、もしより金の雨を降らせる結果になればそれはそれで興味がありますし、また奇しくもジェリコが「新日本プロレスのトップ」として名前を出す棚橋弘至が同じ日に復帰宣言をしているわけですが、棚橋弘至も年齢的にはジェリコまで行かずとも今年43歳です。

ジェリコが新日本プロレスに登場したのが2年前46歳の時ですから、棚橋弘至にとっても自己再構築のお手本になる存在なのではないかと思います。

いつも棚橋弘至は怪我からの復帰明けの時にヒゲと若干のボサボサ風な雰囲気になっています。
それがまたカッコいいので「ワイルドなヒール路線に行くのか?」と期待するのですが、今回はどうなのでしょうか。
今の棚橋弘至が正攻法の真っ直ぐな状態のままではIWGPは遠すぎると思いますからね...まぁでもファンサービス的なイベントが多いので一生ベビーフェイスでいるしかないのかもしれませんが。

クリスジェリコのIWGP挑戦と内藤哲也の二冠宣言

そんなジェリコのインタビューから約1ヶ月後に新日本プロレス公式で掲載されていた内藤哲也のインタビュー。
これもまた奇しくもという感じなのですが話の内容が「クリス・ジェリコ」「IWGPとICの二冠王」なんですよね。

内藤哲也いわく「クリス・ジェリコはプロフェッショナル」だと思うと。
必ずインパクトで相手を上回るということであったり『目の前に相手がいなくても前哨戦はできる』と学んだと言っています。

内藤も相手がシリーズ参戦していない時もコメントで盛り上げますからこの辺りの価値観は似ているのでしょう。
そしてまさに今回のクリスジェリコもオカダの目の前にはいないのに「レインメーカーとペインメーカー」という構図を一瞬で作り上げたことで、あの瞬間からすでに前哨戦が始まっていることになりますね。

この時の内藤は「インターコンチネンタルはいらないと思う」と発言しています。
ただ「だけど無くせないのであればIWGPとの二冠を目指してみたい」と発言しており、それが今でも飯伏幸太との戦いの中で出てくる「二冠というテーマ」ですね。

そんな内藤哲也は失ったインターコンチネンタルを大阪城ホールで取り返すためにリングに上がります。

そして、昨年の大阪城ホールで内藤哲也からインターコンチネンタルを奪ったクリスジェリコが今年はオカダカズチカのIWGPに挑戦します。

仮にこの日、内藤哲也が勝利しクリスジェリコも勝利したとすれば内藤哲也のターゲットは当然ジェリコになります。
「インターコンチネンタルなんていらないけどIWGPのために必要」という制御不能な男と、自身を再構築し続けてもベルトへのリスペクトを持っているIWGP王者クリスジェリコというまた別の価値観の戦いも夢物語ではないのかもしれません。

もちろんオカダカズチカもジェリコに負けるわけにはいきません。
マディソンスクエアガーデンのメインを張り、そしてクリスジェリコを倒せばより世界に名前が届いていきます。

レインメーカーが決まればオカダカズチカが最強の王者としてG1参戦。
レインメーカーをコードブレイカーで返された時にはクリスジェリコがIWGP王者に。

試合は20分にも満たないかもしれませんが、前哨戦は5月4日にあの映像が流れた瞬間からスタートしています。


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