豊田真奈美さんの訴えるオリジナル技への思い

プロレスファンの中で賛否両論が起きている豊田真奈美さんの訴え。
ジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックスホールドが無断に使われたことに対しての思いですが、、まずは東スポの記事をご覧ください。

元女子プロレスラーの豊田真奈美氏(48)が22日、ツイッターを更新し、スターダムの大会で自身のオリジナル技「ジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックスホールド」が無断で決まり手に使用されたことについて改めて見解を示した。

豊田氏は「様々な意見がありますが、ジャパニーズオーシャンサイクロンスープレックスは私が大切に使っていたオリジナルの技です」と説明。

「藤本つかさ、日高郁人に伝承し大切に使ってくれてます この二人に敬意を表する意味で他の選手には勝手に使ってもらいたくないのです」と正統な継承者の存在を強調し、理解を求めた。

僕はプロレスファンとして思うところがありますし、体験談として似たことが今日はじっくり書いてみたいと思います。

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ジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックスホールドという技の特殊性とオリジナリティが問題

まず、僕は小学生の頃に全女をかなり見ていましたし、愛知県体育館で開催されるときは足を運んでいました。
好きだった選手は北斗晶選手、豊田真奈美選手、井上京子選手でTシャツを買うとサインがもらえるようなときは並びましたよ。
特に豊田真奈美選手は試合の凄さとルックスのギャップが好きで、同級生が宮沢りえだ観月ありさだと言っている中で僕は「豊田真奈美が美人っしょ」と言ってましたから(笑)

ファイプロの女子プロバージョンが出た時は飛翔天女の試合を再現して楽しんでいましたし、フィニッシュは当然ジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックスホールドですよ。
中学生の時には陸上部の使う深いマットでこれを同級生にかけてみたりしましたし、僕の長い30年近いプロレスファン人生の中でも「オリジナルを感じる技」として三本の指に入ります。

さて、そんなジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックスホールドという技ですが、これを普通のプロレス技とするか非常に特殊な技と考えるかが重要だと思うのです。

例えばパンチ、キック、ボディスラム、逆エビ、逆水平チョップなどは最初に誰が作ったのかは知りませんが基本技として新弟子が最初に使う技ですから、伝授するようなものでもありません。
また他の技も時代とともに変わっていきますから、例えば昭和の時代に前座の若手がアントニオ猪木を象徴する延髄斬りとか、ドラゴンスープレックスとかサソリ固めとかバックドロップとかを使ったらぶっ飛ばされたことでしょう。

しかし、今の時代で言えば新日本プロレスのヤングライオンが大技を使うことは極端に珍しいことでもありませんし、例えば川人は回転延髄斬りとかしていましたし、今では海野がフィッシャーマンを使ったりしていますよね。

プロレス技は時代の流れとともにそこまでの技ではなくなることが多々あります。
まずはこれを前提として考えないといけないと思います。

次に、既存の技を必殺技として昇華させて代名詞とすることもありますよね。

新日本プロレスのエース棚橋弘至のハイフライフローは普通にボディプレスです。
ボディプレスを誰が使い始めたのかは知りませんが、でも棚橋弘至がやればハイフライフローですし、ボディプレスを見たら「ハイフライフローやん」と逆転現象が起きるぐらいまでのことをしています。

オカダカズチカのレインメーカーはショートレンジのラリアットで、僕のイメージではスコット・ノートンです。
スコット・ノートンのショートレンジラリアットなんて何千回見たことでしょうか(笑)
またドロップキックなんてプロレスの基本技ですが、それをオカダカズチカはお金が降り注ぐレベルの技としました。

内藤のデスティーノは変形のアサイDDTとも言われますし、EVILのEVILは大外刈り、SANADAのスカルエンドは胴締めドラゴンスリーパーです。

でもこれらを盗用と言う人はいないでしょう。
というのはその選手の代名詞的なところまで上げているということと、また元がそこまでオリジナリティが突き抜けたものではないですし(アサイDDTはそのクラスかもしれませんが)今使っている人が少ないということもあって、何の問題もないはずです。

※内藤選手のデスティーノは変形アサイDDTとは言えないぐらい似て異なるものですが、お披露目当初に受ける側がよくわかっていなかったのか内藤が回り切る前に相手が受け身を取っていたのでアサイDDTと言われてしまったんですよね。

もう1つ、小橋選手がハンセンにラリアットを食らいまくったことでラリアットを使うようになったりとか、そういうケースもありますよね。

ただ、ジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックスホールドに関してはあまりに特殊というか、僕も最初に見たときは「なにこれ!?こんな技があるの?」と驚いたぐらいですし、あまりに豊田真奈美のオリジナルすぎることが特徴としてあります。
あの時代の全女は大きな選手も多かったですが、そこをトップで生き抜くための大切な技もありますからね。

その上で更に藤本つかさ選手と日高選手に伝授しているという事実があるわけですから、豊田真奈美さん本人の気持ちとして「使ってくれるな」と思うことについては理解できるところです。

逆に自分の技が広がることで嬉しいと感じる選手だっていると思いますし、また使う側がネタ元に対してリスペクトがあるかどうか?ということもかなり重要だと思うのです。

なのでこれは凄く難しい問題であると思います。
例えば新日本プロレスのリングだからこそ延髄斬りや卍固めが自然と継承されていくとかそういう流れは素晴らしいことだと思いますし、じゃあ30年後の新日本プロレスのリングで突然スリングブレイドからハイフライフローをする選手がいたら「おお!棚橋!!」ってなるじゃないですか。

じゃあタイミング的にですよ、来月ぐらいに新日本プロレス以外のリングで突然アイアンフィンガーフロムヘルを使う選手が出てきたらそれは腹が立つと思いますもん。それは飯塚さんも僕らファンもですし、タイチ選手とかブチギレすると思います。

パクリなのかオマージュなのか盗作なのか、そもそもオリジナリティを求めるべきではないのか

そもそもの話なのですが、プロレスラーはその人の個性とかオリジナル性が重要だと思います。
仮に元ネタがあってもそれを自分の個性にまでしてしまう天才もいますし、自分で0から1を生み出す天才もいますがそういうケースは素晴らしいことだと思います。

そうではなく、ただ安易に盗作のようなことをするのはやはり良いことではないでしょう。

これは僕の経験談となりますが、競馬の世界にはいろいろな予想ファクターがあります。
展開、騎手、調教師、血統、調教、指数、タイム、などなど本当に膨大なものがあるのですが、これも先程書いたプロレス技の話と似ていて、恐らく30年前は上記した1つ1つのファクターが斬新な予想理論になっていたはずです。

しかし、今ではこれらは当たり前に使われるものになっていて、それこそ上っ面だけではなく少々掘り下げた程度でも「当たり前」レベルのものになっているわけです。

なので、例えば血統理論の第一人者がいたとしても「このお父さんの子供はこのコースに強い」なんてことを書くのは盗作でもなんでもなく「常識レベル」の話なんですね。

プロレス技で言えばボディスラムとか逆水平チョップとかそういう感じのものなのです。

ただ、僕が2011年に雑誌掲載されて書籍化されたミリオンダラー馬券術というのは考え方や計算、いやアイデアの時点からオリジナルでネット上のどこを探しても類似するようなことはありませんでした。
そしてその後、競馬ブログなどで「竹内さんのミリオンダラー馬券術の~」と書いた上で愛情を持ってそれを更に改良するとかする人なども出てきましたがそれについては僕は伝授したわけではないですが嬉しいことだと感じました。

ですが、その後この理論はアイデアや考え方はそのままで基本となる数字と別のものに置き換えただけの物としてある人物に盗用されてしまうのです。
しかもそれは自分のことを慕ってくれていた同業者(後に更に僕のネタを盗用をした上にそれを指摘されると逆ギレ)だったのですが、身近な人間にですらそういうことをされれば腹が立つものです。

やはり何かを作ってそれを商売とするならオリジナル性は必要ですし、逆にそれを求めずに安易に盗作するような人は成功しない・・・とも言えないのがこの世の中の辛いところなのですが、でも見ている人はしっかり見てくれています。

僕が思うのは相手側がどういう気持ちで自分のマネをしたのか?ということが一番重要だと思うのです。
例えば中国にディズニーランドまがいのものがあったり、韓国にドラゴンボールの原作者がいるとか(苦笑)そこに愛が1つもなく、ただ自分の利益のためだけにやっているというのは論外ですけど、小さなことでも1つ何かリスペクトなどあれば全然違うということだと思うのですよ。

もちろん人間なんて「何かに影響を受けた塊」ですから、完全にオリジナルな人間なんて1人もいないと思います。
ただインプットしてきたものをどう自分が栄養に変化させて、そして何を作る人間ならそれをアウトプットできるかどうか?がオリジナルに繋がるわけですから。

僕はプロレスラーを尊敬していますから、プロレスラーを名乗る人たちにはそうあってほしいと思うのですけどね。

しかし難しいプロレス技の世界。少しの変化でオリジナル技になるのが現実。
それを元に考えると鈴木みのるは凄まじいレスラーだと思った話

そうは言ってもプロレス技というのはとても難しい世界で、やはりプロレスとは非現実な世界なのです。
例えば足4の字固めでも、ジョニーパワーズが入り方を変えるだけで足8の字固めとなるわけで・・・(笑)

それこそハイフライフローだって屈伸式のボディプレスですけど、棚橋弘至がトップロープを飛び越えてコーナーに上がりポーズを決めて発射すればそれはハイフライフローなわけです。

今新日本プロレスのIWGP王者のジェイホワイトが使うブレードランナーにしても、シェルショックやシスターアビゲイルと同じ形ですけど、ジェイがカッコよく首を掻っ切るポーズをしてからやればそれはブレードランナーです。

極端に言えば小指を立てているか立ててないかでもオリジナルになりますし、仮に内藤哲也のデスティーノを丸パクリする選手が登場したとして、技を出す前に髪をかき上げる動作をして別名にするなんてこともプロレスではありえます。

そんな中で、鈴木みのるのような選手は昭和のプロレスをそのまま体現していますし、決め技が「ゴッチ式パイルドライバー」です。
この名称のまま使う鈴木みのるはカッコいいと思いますが、そもそもパイルドライバーの持ち手を変えたのがゴッチ式パイルドライバーなのですから、やっぱりプロレス技というのは元ネタがあったとしてもそれを自分の代名詞にできた選手はトップオブトップなのであるということなのではないでしょうか。

特に鈴木みのるの場合は「ゴッチ式」と名入りの技を「鈴木みのるの代名詞」と誰しもが言う状態にしたので、桁違いに凄いレスラーなんだなと思いました。

なので、元ネタとなるレスラーと何の接点も物語もない状態で人の技を使ってそれが代名詞にできないような選手であれば、勝手に淘汰されていくのではないかな?とも思うんですよね。
豊田真奈美さんの気持ちはめっちゃわかりますが、ジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックスホールドが豊田真奈美以外の人間とイコールになることは恐らくないでしょう。それは伝授されたレスラーでも実現できないと思います。

ただこの件はプロレスラーのオリジナル技の重要性にファンも気がつけたことだと思いますので、僕としてはとても勉強になりましたし、鈴木みのるってとんでもない選手なんだなと確認できるきっかけになりました。

なぜか結論が鈴木みのる凄い説になってしまいましたが・・・いや、もう1つ解決策の提案をしましょう!

今更ですが、ジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックスホールドの技名を変えましょう。
豊田真奈美式ジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックスホールドとするのはどうでしょうか(笑)

こうすることによって、名前をこのまま使うのか勝手に変更してオリジナル名にするのかで豊田真奈美さんへのリスペクトがあるのかないのかわかりますからね。カッコいい技名ではないですけど・・・


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