新日本プロレスワールドに動画が上がっているとは知らず、ようやくジャイアント馬場没20年追善興行をじっくり見ることができました。
新日本プロレスの選手が出ている試合だけですが、本間朋晃&岡林裕二&野村卓矢&成田蓮 VS 宮本和志&橋本友彦&橋本大地&野村直矢から見どころ満載でしたね。

ここで成田蓮が堂々と戦っていることに感動を覚えましたが、相手チームから「新日本プロレスの若手はこんなもんか!」と言われたのは悔しかったことでしょう・・・
ただ個人的には新日本プロレスのヤングライオンである成田蓮と橋本大地が戦うというのは感慨深い物がありました。
もちろん成田蓮は21歳ですから橋本真也とは関わりもないですし橋本真也が亡くなった時にまだ8歳ぐらいですから、当人には特に何の感情もないとは思いますが、長年プロレスを見ているとこういう「歴史が交差する瞬間」のような時にはやはり特別な感情が湧いてくるものですね。


本間朋晃はまだまだコンディションが上がってこないというか、打ち合いでもかなり押されている印象でしたし、そもそもこれはサマーナイトフィーバーin両国の時にも感じましたが新日本プロレスは最近怪我人が多いので「危険な技はダメ」「ハードヒットはやめて」と『レスラーを心配するファン』というレスラーが恥をかくような声も飛ぶことが多い中で、それでも対抗戦などになると他団体の方がハードヒットしてるなぁと思います。

サマーナイトフィーバーin両国のときは馳先生が棚橋と真壁をボロカスに酷評したことに腹が立ちましたが、新日本プロレスと全日本プロレスを比較して新日本プロレス側に対して「技が軽い」と言ったことは今では「そうかもなぁ」とは思いました。

まぁ、それでも新日本プロレスの歴史としては対抗戦になるとヤングライオンが殺気に満ちあふれて「相手を潰す」ような試合をしていた歴史があるわけですし、このような機会は多くないかもしれませんが他団体とやる時に抜くための刀は持っていてほしいなと思います。

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どんな状況でもタイチワールドが作れてしまう魔法

渕正信&藤原喜明&青柳優馬 VS タイチ&金丸義信&TAKAみちのくの試合はほぼ「タイチワールド」でした。
藤原組長にも遠慮なし、渕さんにももちろん遠慮なし、青柳優馬とも過去に因縁がありますがそれを見せつつ和田京平さんにも絡みながら、実況席の川田利明にも喧嘩を売る。
もう誰もがタイチしか見ていない状態になっていますし、内藤が言う「俺に絡むのが一番美味しい」というワードが今では「タイチに絡むのが一番美味しい」という感じになっているような印象を受けます。


「テメー引退したのかしてないのか、してないならやってやるぞ」と師匠に啖呵を切るタイチ。
これがタイチ流の恩返しなのでしょうし、もし万が一にでも川田利明がリングに戻ることがあれば必ずタイチが叩き潰すことでしょう。
団体を超えても歴史を超えても因縁を作り暴れまわるタイチ。確かにそろそろ「自分がボス」になるために一歩踏み出してほしいものですね・・・。

そうそう、先程「調子が戻ってこない」と書いた本間朋晃についてですが、タイチはここにもちょっかいをかけています。
世界一こずるい男と呼ばれていましたが、今はもう世界一男気のあるツンデレレスラーです。


あとね、やっぱり組長の脇固めは凄いよ。
どの時代もこの一発で客が大きく盛り上がるし、一瞬で決まる怖さもあるし、これぞプロレスラーだと思います。


組長の試合は当然昔から見ていますし、猪木VS藤原は生観戦なんかもしていた世代の僕としてはやっぱりこの人達が元気で「怖い」のは凄く嬉しいな。

3WAYより真っ向勝負の対抗戦が見たかった
SANADA&BUSHI VS ジェイク・リー&岩本煌史 VS 海野翔太&吉田綾斗

この3WAYは「なんでこんなカード?」と思ったのが第一印象です。
3WAYで新日本プロレスのタッグが2つあるのは微妙ですし、試合結果としてもSANADAが海野から3カウントを取ってもなぁ・・・という感じでした。


ただ、ジェイク・リー&岩本煌史 VS 海野翔太&吉田綾斗というのは今後も見てみたいなと思いましたよ。
「お前らに負けるか!」という気持ちがそのまま出ていましたし、そこにクールなBUSHIとSANADAがいたことで全体の華はありましたけど、対抗戦では熱さが見たいものですからね。

もちろんBUSHIとSANADAは全日本プロレスの遺伝子を持つ選手なので思いは強いと思いますが、3WAYで一番格上のチームって立ち位置が難しいと思うんですよね・・・

そうそう、僕のパーソナルトレーナーさんが今年全日本プロレスさんと繋がりができて、丁度このジェイクリー選手や岩本選手と交流が生まれたところだったり。僕もたまたま同時期に焼肉屋にいて友達と新日本プロレスの話をしていたら隣に岩本選手がいて気まずいなんてことがあったのが丁度この大会の直前ぐらいのことだったなんてことがありました(笑)

永田さんはいつでもどこでも頼もしい

秋山準&大森隆男&太陽ケア VS 小島聡&永田裕志&西村修僕の世代的には結構来るものがある対戦カードですし、コジと永田と西村修が並んでいるのは何だか見ているだけで嬉しかったです。また、小島聡は全日本プロレス所属もありましたし、永田と秋山というのは団体の垣根を超えたライバルという構図ですからやはり見ている方も手に汗握ってしまいます。

永田と秋山のような他団体に存在するライバルという魅力・ドラマ性って最近はあまりないですよね。
内藤とSANADAはそう言われていましたが、比較されるだけでライバルではないですし今は同団体の同ユニットですからそこまで深くありませんし、三銃士と四天王と永田と秋山とかそういう存在がもっと生まれるといいなぁと思います。

あと、やはりこの手の対抗戦の時というのは「永田さん凄い!」ってなりますね。
「俺は新日本プロレスなんだ、絶対に負けないぞ」という思いを全部出してくれますし、ファンの思いも背負って全力で戦ってくれます。
第3世代というもっとも損をした世代ですが、その中でも新日本プロレスを守ろうと必死に戦ってきたのは永田さんですからね・・・


そして白目。緊張と緩和の振り幅が一番広いのが永田裕志だと思います。
「タイトルマッチはハードな試合」「地方ではお笑いプロレス」というような振り分けをしている選手が増えてきている中で、永田さんは1試合の中で緊張と緩和をナチュラルにできてしかもそれをファンが心待ちにする状況を歴史の中で作ってきたというのはプロフェッショナルだよなぁと思います。

考えてみれば永田裕志がデビューしたころから僕は新日本プロレスファンなので、ヤングライオン時代からずっと見ているわけですがUWFとの対抗戦のときにどれだけ新日本プロレスファンを納得させてくれたか、IWGP王者時代も佐々木健介との試合などもどれだけファンをスカッとさせてくれたか。

それでいて今でも石井との試合などを見れば会場全体を緊張で包むのですから本当に凄い人だなと思います。

棚橋弘至はどこの惑星でも照らすことができる太陽

棚橋弘至&ヨシタツ VS 宮原健斗&関本大介、メインイベントとなるこの試合は興味津々でした。
棚橋弘至を意識している宮原、そして昔から注目している関本もいますし、新日本プロレスファンとしてはずっと心の何処かで心配しているヨシタツですからね。

まずヨシタツに関しては彼が海外から帰国して新日本プロレスに乱入したときには「ヨシタツだ!!!!」とめっちゃ叫んだ記憶が今でも残っていますし、そしてそれからAJスタイルズと試合をしてスタイルズクラッシュの受け身をミスったときには、大げさでなく僕は手に持っていたコップを落としました。

正直な感想「あ、死んでしまった」と思いましたからね。
一般人なら即死レベルだったと思いますから。

それから全日本プロレスで活躍していることは記事や全日本プロレスファンの人から聞いていましたが、相変わらず明るくで華があって何より元気そうで嬉しかったです。

宮原はこれまたよく耳にする名前となりましたし、全日本プロレスに凄いスターが登場したということも聞いていました。
試合後のコメントで棚橋が絶賛していたように確かに華のある素晴らしい選手だと試合を見て思いました。
明日で29歳なのかな?まだまだ若いですしね。

あまりにも棚橋弘至を意識している風貌やまだマイクが勢いだけでまとまってない感じがしましたが、荒削りでもここまでの雰囲気があるのですから数年後には素晴らしいプロレス界のスターになっているのだと思います。


膝蹴りも迫力満点でした。
プロレス界における派手な膝蹴りって武藤のシャイニングウィザードからのシャイニング系ブームから派生していって、膝蹴りorトラースキックみたいに流派が分かれたような気がするのですけど、なぜこの見栄えの良い足技に80年~90年代は気が付かなかったのでしょう?(笑)まぁでもトラースキックに関しては誰でもできるだけに世界中どこでも乱発するようになったのは不満ですけどね。


フィニッシュ技のシャットダウンスープレックス、気になっている技でしたが新日本プロレスファンの自分としてはいつか新日本プロレスの選手との試合で見てみたいと思ってこれまで調べてなかったのですが、ようやく見ることができました。

フォールしている姿はビューティフル!!ですね。
ゆっくり持ち上げて一度溜めてから投げるダルマ式ジャーマンという感じなのでしょうか。

でもなんでしょう、「タメ」にオリジナリティがあるのかもしれませんが、スピード感のある宮原健斗なのでそのタメが物凄くもったいないような気がしました。
特に今のプロレスは必殺技の切り返し合戦が華だったりするので、これだと「耐える」しかできないような気もするんですよね。
ダルマ式ジャーマンは棚橋弘至のつなぎ技でもありますので、せっかくこれだけのルックスと身体能力の選手なのですから、もっともっと派手な技が似合うのではないか?と思いました。

関本は若い頃から「新日本プロレスにこねぇかなぁ」と思っていた選手ですがもう38歳になっているんですね。
でもその肉体とパワーは進化している印象ですし、これぞプロレスラー、これぞ説得力というのを持っているので凄いと思います。


棚橋が試合後に関本大介VSエルガンのような話をしていたのでニュージャパンカップにエントリーされないか期待しましたが、今回はエントリーされることはありませんでした。
でもG1にエントリーしてほしいですね、ぜひ。宮原は全日本プロレスの顔なので中々他団体のリーグ戦にエントリーするのは難しいと思いますが、関本ぐらいのキャリアなら勝ち負けどうこうよりも重要なことを見せつけてくれそうですし、僕は新日本プロレスファンですが関本大介のパワーに圧倒させる新日本プロレスのレスラーも見てみたいです。

でもやはり棚橋弘至のオーラ、存在感というのはまだまだトップ中のトップだなと思いました。
スピードでは宮原に勝てないですし、もちろんパワーで関本に勝てるわけもありません。
なのに棚橋が動けばそこにキラキラしたエースのカリスマみたいなものが飛び散るのですからやはり太陽の天才児です。


スリングブレイドかと見せかけてのネックブリーカードロップは当然ジャイアント馬場さんへのリスペクトの表現ですが(これ本当は宮原が先にやらないととも思いますが・・・)映像を見ていて興味深かったのは歓声があまりなく戸惑いのような唸りというかどよめきが聞こえてきたことですね。
「スリングブレイド失敗したの?」ぐらいの感じに聞こえましたが、考えてみるとジャイアント馬場さんの追悼興行とは言っても来ているファンは若い人が多いでしょうから、ネックブリーカードロップの意味が伝わらなかったのだと思います。

まぁ僕の年齡(38)でもプロレスを見始めた10歳の頃にはもうジャイアント馬場は完全にピークを過ぎてますし、申し訳ないですし一般人の誰もが言ってましたが「俺でも馬場になら勝てる」とか言ってたぐらいの時期ですからね。
なのでこれは仕方ないことなのかなと思いますが、でもこれを魅せる棚橋弘至は天国すら照らそうとしている太陽なんだなと思いましたよ。

今後、新日本プロレスと全日本プロレスなどの絡みがあるのかどうかわかりませんし、ぶっちゃけプロレスでの団体対抗戦が起こる時というのは「業界が低迷しているとき」なので、新日本プロレスに関しては自前+ROH+CMLLでこれから数年は余裕で安泰だと思うんですね。

でもプロレスって波が必ずあるもので、じゃあ新日本プロレスでも5年後はどうですかと。
真壁刀義51歳 棚橋弘至47歳 後藤洋央紀45歳 内藤哲也41歳 飯伏幸太41歳 EVIL37歳 オカダカズチカ36歳 SANADA36歳となっていくわけですし、ジェイホワイトやオスプレイがいるといってもいつWWEに行くかわかりません。
若い選手が育ってこなければ、海野、成田、岡、金光、上村、川人、辻、ヘナーレ、フィンレーたちがオカダやジェイを脅かすぐらいに5年後になっていないと、このまま右肩上がりなんてないですから。

で、まぁ難しいところで団体単体で絶好調だと安定して面白い反面、爆発的な刺激は起きない。
逆に不調になってくると夢の試合が増えてくるというね、この辺りが難しいわけですが僕の理想としては新日本プロレスが絶好調の今こそ全日本プロレスもNOAHも復活してきて黄金期を作った上で、夢のある対抗戦が見てみたいなぁと思います。

棚橋弘至は東京ドームのケニーオメガ戦で新日本プロレス対UWFのあの感じを超えようとしていましたが、やはりあの熱量というのは同団体内の別ユニット対決では難しいと思いますから。


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