飯塚高史が引退すると聞いて込み上げてきた数々の記憶

KUSHIDA退団、ケニーは恐らくWWEかAEWへという中で
飯塚高史の引退という発表も悲しいです。

僕が新日本プロレスを見始めたのは90年ぐらいからですから
飯塚選手と言えば女性人気のあるイケメンレスラーという立ち位置でしたし
改めて当時の映像を見ても顔も体も人気になって当たり前だったなと思います。

それこそ今、20代で新日本プロレスに在籍するレスラーだったなら
オカダや棚橋と人気を分けるぐらいだと思いますよ。

そもそもエリートコースの選手で、そのルックスに加えて
投げ技も飛び技も寝技もできるオールラウンダーだったのですが
新世代闘魂トリオがコケて、武者修行後に闘魂三銃士と馳健に対して
挑戦表明するもののなぜか寒い空気になり(笑)

ブロンドアウトローズにはいつもいじめられて、ボコボコにされて
JJジャックスなんて今でもプロレスファンが集まればネタにされ、
山崎一夫や永田さんと共闘するも永遠の若手、永遠の中堅状態が続き
後にそれは井上亘に引き継がれていく新日本プロレスの中堅物語の
90年代を象徴するような選手でした。

UWFとの対抗戦では、高山戦を控えている中インタビューで
「勝つのは当たり前として、何分で勝つかってことだよね」ぐらいのことを言ったのに
ほぼ何もできずに高山にボコられて敗戦。

当時、僕は同級生でプロレス仲間だった井上君(通称イノ)と二人で
「飯塚ふざけんなよ、なんなんだよコイツ!!」と怒ったものです。
(子供だったので許して)

そして、橋本と小川の例のセメントマッチのときには
新日本プロレスのレスラーはジェラルド・ゴルドーからは全力で逃げ(情けなかった)
そんな中で村上をとっ捕まえでボコボコにして昏睡状態にまで追い込んだ中の
張本人がこの飯塚選手ということも有名です。

・・・と、考えてみたら新日本プロレスが暗黒時代になったのって
K1とPRIDEと暴露本の問題以前に、この辺りで新日本プロレスのレスラーが
とても情けない姿を見せたからというのも引き金だったように思いますね。今思うと。

さて、そんな中に訪れた飯塚高史大ブレイク。

それが橋本・飯塚VS小川・村上。

試合前、ファン10000人に聞いたら9990人ぐらいがこう答えたでしょう。
「飯塚が負けるんでしょ」と。

ところがどっこい、橋本にマウントを取る小川を
画面のフレーム外からドロップキックで飛んできて吹き飛ばすと
魔性のスリーパーで村上を絞め落として会場大爆発!

プロレスを見始めてから10年間、ずっと「飯塚しっかりしろ!」と
言っていた僕は20歳を迎えて「飯塚ありがとーーー!!」と叫ぶことになりました。

その後はタイトル挑戦、G1で名勝負もあって確実にトップ戦線まで
届いてくると思われている中で負傷・・・本当に気の毒でした。

そこからは天山との友情タッグ、からの裏切りから
クレイジー坊主となり、ときに喋ることもありましたが(そんな記憶があるんだけど)
言葉を発することはなくなり、CHAOSのメンバーとして暴れまわった後に
実は友情の深い鈴木みのる率いる鈴木軍に入り今に至ります。

野上アナウンサーとの抗争(というか一方的な餌)も新日本プロレスの代名詞として
会場で楽しみにしているファンが多い時代もありましたね。

本当にね、運がなかった部分が大きい選手だと思うのです。
例えば三銃士が1人、馳か健介が1人いなかっただけでもポジションは違ったでしょうし
怪我がなければという部分でもそうで、何か1つ違えばトップ選手だったはずです。

それでも、クレイジー坊主化としてから飯塚高史の存在は大きくなりましたし
あの凄い体をキープしているというのは裏では相当の努力をしていることもわかります。
年齡も50歳過ぎてるわけですからね、それでいて怪奇キャラをやり遂げたわけですから
プロレスラーの鏡と言える素晴らしい選手だったと思います。

地元北海道での大会に出場した後、2月21日(木)『NEW JAPAN ROAD』で
飯塚高史引退記念大会でプロレスを引退することになるわけですが
なんかね・・・泣いてしまうかもしれませんよ僕は。

この人のプロレス人生の9割ぐらいは見続けてきていますし
先程も書きましたが、小川・村上戦のドロップキックとスリーパーは
当時の僕の心にあった嫌なこととかを、その瞬間だけは完全に忘れさせてくれて
なおかつ新日本プロレスファンの全員に近い人が雄叫びをあげたと思いますから
そんな選手がプロレスラーではなくなるなんて、悲しいですよ。

この引退については最低でもワールドタッグリーグの時期には決まっていたのでしょう。
だってねぇ、スリーパー使ったりとか急でしたしあのときに「あれ?もしかして・・・」って
ファンの人は頭を過ったと思いますから。

KUSHIDAの件と同じで、やっぱりそういう部分は溢れ出てしまうものなのでしょう。

引退まで貫いてほしい?それとも声が聞きたい?

引退といえば挨拶やセレモニーがあるものです。
しかし飯塚高史の場合はキャラがああいう感じなので、どちらに転ぶのかわかりません。

例えば、あのまま貫いてセレモニー無しとか、セレモニーの来賓に噛み付くとか(笑)
挨拶も「うがーーーーー!!」で終わらせたら、それはそれで凄いと思いますし
でも、元の飯塚高史に戻ってコメントをするなら一語一句しっかり聞きたいとも思います。

飯塚高史がクレイジー坊主になって以降のファンの人からすると
「このたびは・・・ご来場ありがとうございます!」とか言う飯塚を見ると
最終回で喋ったノッポさんを見た子供のようなショックを受けるかもしれませんが(笑)
ただ、昔から飯塚を見て応援しているファンからすると声は聞きたいでしょう。

セレモニーに野上選手が来て、それを感涙しながら噛み付いてアイアンフィンガーを食らわせて
逃亡する飯塚高史なんてのも見てみたい気もしますし、「何かが起こる!」という部分で言えば
今年のイッテンゴよりよっぽど期待感が高いと思います(笑)

まぁ、これで飯塚高史が喋って泣いて、鈴木軍が泣きながら抱擁とかしちゃうと
流石にヒールユニットとしてどうなのって感じの空気になるかもしれませんが
何にしても僕は泣くだろうな、うん。

また試合に関しても、今の飯塚高史を見せてくれるのか
それとも裏投げ、ブリザードスープレックス、膝十字、スリーパーとか
そういうものが最後に出てくるのか?というのも凄く楽しみですよ。

もう分かる人の方が少ないと思いますが、後藤達・・・じゃなくて後藤洋央紀でいいので
飯塚がヘッドロックしてナックル入れたあとにブルドッキングヘッドロックを狙って
バックドロップで返されて負けるとか、20年前のオマージュとかも見たい!(無い!笑)

もう1つ思い出したことがありまして、僕の義父が当時新日本プロレスレフェリーだった
田山さんと友達だったので90年代はよくレスラーの方のサインをいただいたりできたのですが
飯塚さんからももらったことがあるんですよ。

あれから・・・25年とか!?凄く長い時間が過ぎました。

プロレスのスタンダードな部分、ヒリヒリする対抗戦、感動、恐怖、そして笑いまで
実はこれだけ多くのタイプの感情をファンに与えるレスラーは少ないと思います。
飯塚高史、引退までのカウントダウン。悲しいですけど、引退する瞬間まで
何を見せてくれるのか、僕は楽しみでもある!!


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