心配しかない

過酷なG1がスタートしてまだ序盤ですが、ファンやアンチだけではなく試合を見ているプロレスファンの多くが心配している内藤選手のコンディション問題について、少し書かせてください。

これまでにも内藤選手のコンディションが激落ちをしてファンが心配することも批判することもありましたし、明らかにボロボロの試合でも大絶賛するファンという光景は何度もありました。

ただ、この夏に関しては...程度のレベルが違う状況になっています。

内藤哲也選手のことならどんな試合でも「最高の試合だ」と絶賛するぐらいのファンの人ですら「この状態で完走できるのか」「怪我に繋がるのではないか」「命に関わるようなこともありえるのではないか」と心配していますし、逆に内藤選手のことなら何でも批判するようなアンチですら「休ませないと大変なことになりそうだ」と心配している状況です。

私個人的に、30年以上プロレスを見ているファンから見ても「ここまでコンディションが悪いレスラーはいただろうか?」と考え込んでしまうということも付け加えておきます。

さて、現状の内藤哲也選手に関しては「長年内藤を絶賛しかしなかったファンが悪い、そのせいで彼は休めなかった」という声もありますし「内藤を超える人気のレスラーが出てこないから試合に出続けて一線で戦い続けなくてはいけないんだ」という声もあります。

要するに「人気が抜けている存在」であることが、内藤哲也選手の選手寿命を短くしてしまった原因であるということでしょう。

加えてオカダ・カズチカ、ウィル・オスプレイ、ジェイ・ホワイト、最近だけでも次々と人気レスラーでIWGPの中心だったレスラーが対談している上にエース棚橋選手は社長と兼任してG1にも出ない状況なのですから、年齢が上がりコンディションが落ちている内藤選手なのに負担は大きくなるばかりです。

しかし、私は思います。
この現状は新日本プロレスの責任でもなければ、内藤哲也選手の信者寄りのファンの人の責任でもなければ、他の選手の責任でもないのではないかと。


そもそも内藤哲也選手はコンディションが悪くて休むという選択肢ではなく「今の内藤哲也を多くの人に全国各地で見てほしい」と考えているレスラーです。

普通の打ち合わせ程度の仕事ですらきついレベルの強行スケジュールで海外に行くこともありますが、それらは内藤哲也選手のポリシーの1つでしょう。


「今」を見せ続けることは「人生」を見せ続けることと言えますが、まさに内藤選手はそのような生き方をしているのではないでしょうか。


種が芽を出して花が咲いた、でもその花はなぜか美しくないと言われて見る人から嫌われた。
そんな時に自分より大きな花が出現し、完全に枯れてしまった花の種がメキシコへ飛び、よくわからない色の花となって帰ってきた。
最初はその花を汚いと多くの人が嫌っていたが、その花が風になびくのではなく風を呼んでいるのではないかと思うほどに多くな存在になっていき・・・そして、今では花びら1枚を残している状態。


内藤哲也選手のプロレスラーとしての歴史を最初から見てきた人には、この例えは伝わることと思います。


そして、花びら1枚しかない状態でも多くの人の記憶に焼き付いている最高の花だったころを思い出しながら内藤選手を見ているのが今のファンなのではないでしょうか。


過去にはピークを過ぎたレスラーがファイトスタイルを変え、別の花を咲かせて生き延びたことが何度もありますし、今現在でもそういう光景はプロレスの世界で当たり前のように起こります。

ただ、内藤哲也選手は基本的に大幅なスタイルチェンジをしていませんし、恐らく今後もしないのではないかと思います。

このまま先、花びら1枚もなくなり枯れていくところまで「今」を見せるという表現方法を選んだのではないでしょうか?


ですが、そうは言っても今のままでは大怪我をして引退、命にかかわることすらもありそうなぐらいの試合をしていることは事実ですし、内藤哲也選手のデビューから今までリアルタイムでずっと見てきて「それなら枯れ果てるところまで見せてくれよな!」と思っている私ですが、枯れるのではなく根っ子からいきなり引きちぎられて終わりなんてのは見たくないわけですよ。

ジェイク・リー選手が「指で押せば倒れそうなぐらいなのに」と表現しましたが、まさに今の内藤選手はそのような状態なのでしょう。

それなら、枯れることを先延ばしして潔く欠場をしてほしいなとも思いますし・・・今の新日本プロレスはEVILにヘイトを集めれば解決というやり方をしていますので、EVIL戦で負傷したことにして欠場なんてことでも最悪OKだと思うのです。

※もちろんEVILにヘイトを向ければ他はOKという手法でなんとかなっているのはすでにヤフコメ民ぐらいの層しかいなくなりつつあるので無理が出てきているが。

目の状態も再度悪くなっているのか、一時期のようにロープを踏み外すことも増えていますし、浮いた状態から着地する時の足の揃い方などが昔とは全然違うこともファンなら見てわかってしまうわけで...そんな状態では流石に心配の方が大きくて試合結果どころではありません。

加えて、今のコンディションで勝利しても説得力はありませんし、今のコンディションで負けても悲壮感しかありません。

武藤敬司選手や棚橋選手のように動けなくなっても痛々しさよりある種の色気が上回るタイプならいいのかもしれませんが、内藤選手の場合はプロレス少年でいたずらっ子でガキ大将でという元気な存在なので色気という点では・・・これは飯伏選手にも言えることかもしれませんが、ファンの見方がそうなっている選手には難しいシチュエーションが続いているのではないでしょうか。

違った意味で制御不能になっている内藤選手を相手にして、いかに試合を成立させるかどうか?というような状況になりつつある点もやはり見ていられないですし、実況でカバーするのも難しくなっているのは実況のリアクションの変化(心配が漏れている)からも伝わってきます。

内藤選手はどれだけやられてもゾンビのように起き上がりますし、その姿に勇気をもらったファンは多いはずです...が、これから先は動けない分だけよりそのようなシチュエーションが増えるわけですよ。

枯れていく内藤哲也という花を見届けることは内藤哲也を応援する上での大きな要素ではありますし、内藤哲也という歴史に残る人気レスラーの見せたいことであることは理解しますが、先程も書いたように枯れるのではなく「突然引っこ抜かれる」ような状況だけは見たくないですからね。


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