石森選手とTJP選手が生み出した名勝負があり、デスペラード選手とDOUKI選手が生み出した熱い漢の戦いがあり、BOSJの準決勝は心から感動させていただきました。
が・・・その直前の試合にはどうも首を傾げてしまいまして。
SNSでは『感動した!』『IWGPを守るぞ!』『ライオンマークを守るんだ!!』と絶賛されている傾向ですし、あくまでもこれは30年以上新日本プロレスを見てきた『もう新日ファンとして不要なおっさん」の話しなので本気で聞かないでください。
海野翔太・X・XX・XXX・XXX組vsHOUSE OF TORTUREの試合についてなのですが、Xが4人という期待感についてはプロレスファンがあーでもないこーでもないと言えて楽しい時間を作れた部分に関しては良かったとも思うのです。
で、そのXが判明する前ですね、EVIL選手がマイクで海野選手を罵倒している最中に暗転⇒モクスリー選手のVTRが流れたと。
そのVTRの中で、大阪のランバージャック戦へ向けて『俺の用心棒は第三世代だ!』と発表をし、そして海野選手とともに入場してきたXの4名が永田選手、天山選手、真壁選手、タイガーマスク選手だったわけですよ。
でね、この4名の選手そのものへの不満なんてあるわけがないです。
ずっと見てきた選手ですし、リスペクトしかありません。
ただ・・・『Xが4人』という煽りで『自団体の選手がX』ってのはいかがなものなのかと。
事前に発表していたらですよ『第1試合 本隊vsHOUSE OF TORTURE』みたいな変哲もないカードなんですよ。
でもここまでは良いです、まだ許容範囲でした。
しかし・・・試合後の海野選手のマイクがさっぱり意味がわからない。
大雑把にようやくすれば『新日本プロレスが辛い時も苦しい時も支えてきた先輩の皆さん、IWGPとライオンマークを守るために力を貸してください!』ってことだったのですが・・・
試合前のVTRでモクスリー選手が「俺の用心棒は第三世代」って宣言しているわけですよ。
真壁選手は年齢的には近くても第三世代とは言われませんし、タイガーマスク選手もそうですが、永田選手と天山選手は第三世代です。
海野選手は「4人」へ向けてお願いをしているわけですから、何かよくわからないけど全員ひっくるめて第三世代みたいな感じの扱いだったのでしょうけど、試合をするモクスリー選手本人が試合前に自分の用心棒は第三世代と宣言しているのに、海野選手は一体なんのためにマイクで「力を貸してください」的なお願いをしたのでしょうか?
海野選手が挑戦者としてEVILに立ち向かう状況ならまだしも、試合をするのはモクスリー選手でしかも王者としてです。
初見で会場に来ている人は「なるほど、この海野って選手があのEVILって悪そうな人と戦うのね」と思ったでしょうが、恐らく帰宅する道のりで「あれ?じゃああの映像の怖そうな外人さんは何なの?」と混乱したことでしょう。
また、熱心な新日本プロレスファンですらあの瞬間は「海野頑張れ!ベルトを取り返してくれ!」なんて思ってしまい、石森vsTJP戦の途中ぐらいで不意に「まてまて、モクスリーにEVILが挑戦するんやん。そしてモクスリーが第三世代が用心棒って宣伝してたやん。じゃあ試合後のマイクはなんだったんだ?」と思ったことでしょう。
さて、この流れだけでも人生で初めてブリーフからトランクスに変えた時に感じたレベルの違和感があるわけですが、まだそれだけでは終わりません。
大阪大会のIWGP戦に関しての登場人物は↓です。
・IWGP王者 モクスリー(AEW)⇒新日本プロレスの至宝であるIWGPを持っていった外敵
・EVIL(新日本プロレス/HoT)⇒ファンのヘイトを集めるヒール軍団のボスだが、立場上は新日本プロレスの選手として流出したIWGPを取り返すことを目的とした挑戦者
外敵、他団体に流出したIWGP王座。
それを持つ王者モクスリーを「守る」ことが「IWGPとライオンマークを守ること」になるので、新日本プロレス所属の選手(第三世代、真壁刀義、タイガーマスク)に新日本プロレス所属の海野翔太が「一緒に戦ってくれ」とお願いしているわけです。
世間ではこれを「エモい」と言うそうですが、私にはさっぱり理解ができません。
タイガーマスク選手は階級が違いますが、永田裕志なら、真壁刀義なら、天山広吉なら『まてまてまて、モクスリーにベルト持っていかれてんねん。EVILが負けたら俺が取り返しに行くぐらいの気持ちなのになぜ流出先の外敵王者を守らないといかんのや』って言ってくれないと。
そこに、新日本プロレスの魂はあるんか?って話ですよ。
モクスリー選手と永田裕志選手が試合をして友情が芽生えた伏線とかそんなものは別問題ですよ。
それこそIWGPのプライドをかけて外様と戦ってきた永田裕志選手や外敵が来た時にはまず門番的存在で立ち向かっていた真壁刀義選手、そしてIWGPの重さと三冠ヘビー級の重さをぶつけ合ったこともある天山広吉選手が何故に外敵王者モクスリー選手に「こいつらが用心棒だぜ」と宣言された上で海野選手に再確認されて握手して楽しそうに帰っていくのか。
ファンも『EVIL達は悪いやつだから、こいつらが常に敵だからね!』って表現に飲まれてしまっているのか『モクスリー!IWGPを守ってくれ!ライオンマークを汚されるな!』とかって空気になっていますが、新日本プロレスの所属として外敵からベルトを団体に取り戻すことになるかもしれない試合に挑むのは現時点でEVILでっせ?
そのEVILから歴代のIWGP王者とこれからIWGPを巻いて新日本プロレスを背負っていくべき存在の海野翔太が外敵王者を守るために一致団結するって違和感を感じない方が不思議です。
まぁ・・・このあたりは『内藤哲也選手が何か苦言を呈する』可能性もあると思いますし、内藤哲也選手が言えば『そうだそうだ!』と手のひらを返すファンが8割ぐらいいるかと思いますので、個人的には大阪大会後の東スポやATの試合後辺りにでもファンの世論が変わっているかとは思いますし、タイチ選手もYouTubeでそういう意見をポロッと口にしてくれるんじゃないかと期待していますが、現状では多くのファンが大絶賛で感涙にむせいだりしているそうなので、正直「自分はもう新日本プロレスを見てはいけないファンなのかな」と悩んでいるところです。
ただ、これは文句を言っているのではなく『これでいいのかな?』というシンプルな疑問と心配なんですよ。
若くてイケメンの海野翔太が悪者王者EVILからベルトを奪うためにリビングレジェンドの選手たちが力を貸すと頭の中で話をすり替えてしまったら熱い展開なんですけど、実際には外敵王者モクスリーと新日本プロレスのEVILが試合をするという状況なのに、ファンの気持ちが前者になるような不必要な錯覚を生む必要が果たしてあったのだろうかと。
加えて、これでEVILがIWGPを奪取⇒ベルトに酷い扱いをする⇒新日内の誰かが取り返す、という流れになるなら何とかなりますが、モクスリーが防衛⇒海野翔太、永田裕志、天山広吉、真壁刀義、タイガーマスク、小島聡(今回は不在だったが第三世代というワードがモクスリーの口から出ているので)が試合後のモクスリーと握手、ハグ、祝福なんてした日には新日本プロレス史上というかプロレス史上であり得ない『自分の団体の最上位のタイトルを奪った外敵王者を歴代の王者を含む所属選手が祝福する光景』というとんでもないシーンを見せられることになるわけです。
恐らくそうなっている時点で、いやそうならなかったとしても試合中には永田裕志がHoTの誰かをエクスプロイダーでぶん投げ、タイガーマスクがトペをぶちこみ、真壁刀義がダブルラリアットでなぎ倒し、テンコジがテンコジカッターで誰かを排除し、新日本プロレスの歴代王者達が外敵王者を守るために身内を蹴散らすような光景もあるはずです。
そして全員で勝ち名乗りでもあげた時にやっとファンは『あれ...なんでこうなるんだ?』と疑問を感じ、控室では一部の新日本プロレスの選手が『なにこれ』と首を傾げ、そんな中でBOSJの優勝決定戦エル・デスペラードVS石森太二がスタートすることになるわけですよ(笑)
個人的には何一つ良いことがない展開だと感じます。
もちろん何か大どんでん返しでもあれば別ですけどね。
なぜこうなったかの理由が生まれた瞬間に180度変わるかもしれませんから。
もちろん現時点では取り返しのつかないレベルでの嫌な予感しかしませんが。
試合後の先輩方はみな嬉しそうですからねぇ・・・