ワールドタッグリーグの中でワールドタッグリーグではない試合に登場する内藤哲也。
ちょっと「ヤバイな」と思ったのは、そんな内藤哲也に送られる声援と試合の盛り上がりがどの試合よりも上ということです。
ワールドタッグリーグの価値をファンが感じていないのか、内藤哲也が見れればそれでいいのかわかりませんが『この状況だと内藤が引退したら暗黒期が来るのではないか』と不安にも感じるのです。
また、内藤が言葉を使わなくなっても同じ人気・コンディションが良くても悪くても同じ人気というのも少々危険ではあるんですよね。
内藤哲也は棚橋弘至になりたかった頃に自分自身を金メッキで塗っていました。
それがファンのブーイングで剥がされ、そしてメキシコに行きロスインゴに出会って本当の金になって戻ってきました。
今でも内藤は金でありダイヤモンドでもあるプロレス界で1番のカリスマなのですが、もしかすると僕たちファンが折角の金の上に不要な金メッキを貼りつつあるのではないかと・・・。
内藤が完璧な技を決めても失敗しても歓声が同じという価値観になってくると、もう内藤は何が合ってもヒーローで最高の存在になっているわけですよ。
となると内藤哲也はカタルシスと無縁になってしまうんですよね。
追い込まれて勝利する、逆転の内藤哲也が2冠王になるなどのカタルシスはあるのかもしれませんが・・・そもそもどれだけ負けても追い込まれても内藤哲也が落ちている・劣勢になっている・悲劇などの状況をファンが感じないほどの人気になっているのは内藤哲也にとって誤算なのではないでしょうか。
もしかすると「言葉を封印することで、少々のブーイングやアンチの登場を待っていた」のかもしれません。
「落ちている自分の表現、そこからの逆転の内藤哲也」を見せたかったのかもしれませんが、人気すぎて成立しない。
そもそも『逆転の内藤哲也』という言葉が今ひとつファンに刺さっていない、ただのキャッチコピーとしてしか取られていない理由はソコなのではないでしょうか?
人気的に絶頂にある内藤哲也の逆転ってなんだよ?と。
この辺りの内藤哲也の本音は数年後に新日本プロレスの連載記事で聞けるかもしれませんが、僕個人の感想としては内藤哲也はファンの支持率の高さに苦しんでいると思います。
これがまた10年前はファンの支持率の低さに苦しんだわけで、良くても悪くも内藤哲也とファンは密接すぎるのかもしれませんね。
ジェイホワイトという類まれな才能が相手という状況も難しい
何が合っても人気の内藤哲也に対して、若くしてヒールを極めている類まれな才能を持つジェイホワイトが相手というのも内藤を苦しめている原因かもしれません。
仮に内藤人気に少々陰りがあった場合でも相手がジェイになると、全てはジェイの手のひらの上になってしまうことでしょう。
内藤哲也のロスインゴ初期時代は、自分にブーイングを集めることで相手に歓声を生みました。
ただ気がつけば自分に世界中のプロレスファンから歓声を集める存在になっていきました。
今のジェイホワイトは世界中のブーイングを集めることで、世界中の歓声を自分の相手に誘導することができる存在です。
彼を相手にしている以上、内藤は「逆転の内藤哲也」というテーマを表現することが非情に難しいでしょう。
だからこそここからドームの内藤哲也の行動から目が離せないのです。
内藤哲也のキャリアの中で一番面白いのがここから1ヶ月少々かもしれませんよ。
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