プロレスや格闘技やスポーツの実況と野上慎平アナの神実況(内藤哲也IWGP戴冠の両国)

スポーツや格闘技、もちろんプロレスも実況というのはとても重要だと思います。
僕が思うに実況は「その競技の一部」でもあると思いますし、無くてはならないものだと感じています。
例えば僕が年間で何千レースと見る(復習も含めると1万以上)競馬なんかは実況が非常に重要ですし、もちろんプロレスも実況無しの試合中継だけだと味気なく感じるものです。

また実況を実況席全体と考えればゲスト解説の人も重要です。
昔、新日本プロレスの東京ドーム大会だったでしょうか、当時まだアイドルとして人気だった乙葉さんがなぜかゲスト解説に来た時なんてのは地獄絵図のような状況になりましたし(笑)かと思えば近年G1の時にゲスト解説として登場することがある元日本代表サッカー選手のゴン中山さんなんかは「この人はめっちゃ予習して来てるなぁ」と感動すら覚えることもあります。

さて、今ちょっと話題になっているのが先日のRIZINでのGACKTさんのゲスト解説の賛否と本人の解説引退宣言。
僕は毎度RIZINをPPVで1試合目から全て見ているのですが、正直今回のGACKTさんの解説は相当気になりました。
そしてやはり「実況解説は重要なものだ」と思ったのです。

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目の前がエキサイトしているのだから実況がおとなしいとバランスが悪い

格闘技以外でもそうなのですが、ファン歴が長い人とか経験者というのは玄人ぶりたいのか「俺は別に興奮してないし」「淡々と技術を語るほうがカッコいい」と考える人がいます。
これはサッカーファンなどにも多くて松木安太郎さんの解説なんかを批判しがちですが、総じてこの手の人は試合会場に来ても腕を組んでピクリとも動かずに試合を見る層なのでしょう。

でも目の前で起こっているのは戦いなのですし、そこまで上から目線で見るようになったら本当はもう興味がなくなってきているのではないか?と思うのです。

僕はプロレスもサッカーも格闘技も小学生の頃から見ていますが、今でもキャーキャー言って見ます(笑)
だって楽しいですから、単純に。当然時間とともに見方が変わってはいますが、目の前で自分ができない凄いことが起こっているのですから、そこは素直に楽しみたいですし、楽しめているから見続けているわけです。

さて、そんなGACKTさんの解説ですが・・・本人のキャラもありますが、口調が落ち着いてゆっくり喋り淡々としています。
特に総合格闘技やキックボクシングが行われるRIZINは目の前で「いつ試合が終わるかわからない戦い」が行われているわけですから、GACKTさんが話し出すと一通りしゃべるだけで1Rが終わりそうなぐらい尺を取るわけです(汗)

また「格付け」で見られるように「GACKTという人間は全ての競技を極めている超一流」というキャラを守らないといけない部分もあるので「あなたは世界王者ですか?」というぐらい上から目線の解説をしてしまいがちなのです。
実力が劣る側の選手に対しては結構見下した発言もしますが、リング上で戦っている人間は相手の実力問わずに命をかけているわけですから・・・

もちろん物凄く的確な解説も多々するぐらいGACKTさんは格闘技に詳しいことは事実なのですが、スポーツやエンターテインメントとしては盛り下げるタイプの人なんです。

それは御本人も格闘技ファンとして身に沁みたようで、このようにコメントをしています。

「今後解説席に座ることはもうない。これで最後だ。強く頼まれたこととはいえ、ボクが格闘技ファンとして客観的にボク自身を見たらボクは要らない」

プロレスの実況は盛り上げてなんぼ!

僕がプロレスを見始めた90年代は辻さんと田畑さんが実況の中心でした。
辻さんは少々ふざけすぎるところがあるので蝶野正洋にシバかれたりしていましたし、田畑さんは的確な解説が武器でしたがどちらもプロレスの試合を盛り上げる必要不可欠な存在でした。

辻さんはNWO入りするなどもしましたし、吉江選手が宴会で全裸になって盛り上げるなんて話をしたせいで試合後に本隊選手から取り囲まれてシバかれたりとかもありましたね(笑)

田畑さんに関しては新日本プロレスの解説に復帰しましたが、僕は思い出が戻ってきたという感じでとても嬉しかったですし、当時より何十倍も複雑化しているプロレスの中で田畑さんの口から「スパニッシュフライ!」なんて聞けるのは今でもニヤニヤしてしまいます(笑)

この二人に対して真鍋さんは実況に関しては正直イマイチでした。
というのも真鍋さんの実況テンプレがゲスト解説に話を振ったあとは必ず「えぇ」「はーい」「えぇ」「はーい」で終わらせるんですよね。

ただ、大仁田厚との物語では体を張って盛り上げていましたしやはり彼もまたプロレスを盛り上げた実況者だったと思います。

またゲスト解説としては東スポの柴田さんやGK金沢さんはプロレスの表からも裏からも話題を織り交ぜて試合を盛り上げてくださりますし、山崎一夫さんは比較的淡々としていますがそれゆえに山崎さんのテンションが高いときは楽しさの伝わり方も大きいです。
ミラノさんは面白くおふざけもしながら元レスラー目線の解説が魅力ですし、元井美貴さんのプロレス愛が詰まった解説も素敵です。
岡本さんも記者としての目線からの解説とおもしろ解説で盛り上げてくれます。

清野アナや村田アナはプロレスという競技に対しての知識力が魅力ですし、そしてもちろんテレ朝の吉野さん、大西さん、寺川さんなども名実況をしてくださりますが、個性的なプロレスラーに負けないほど個性的な実況者がプロレスを盛り上げているからこそプロレスは面白いのだと思います。

内藤哲也IWGP初戴冠の両国国技館で聞ける野上アナの神実況

そんな個性的な実況者の中で野上アナというのは特殊です。
実況はエキサイト系、そして青義軍所属、飯塚選手にボコボコにされる、ライガーさんに怒られて反論する、などなど色々な実況者が持つ個性を全て持っているような存在です。

ライガーさんに怒られたときは永田選手の年齢について話した時ですが、これに対してライガーさんは「年齢なんて関係ないんだよ!コラテメー!」ぐらいの感じでしたが、怒る獣神に野上アナが反論したことが話題となりました。
これに関しては永田選手も「野上は自分の年齢を言うことで自分の凄さを表現してくれたから感謝しかない」と発言したことも話題となりましたね(これに関してはファンも皆理解していたのですけどね 汗)

試合で涙することもある野上アナは、ある意味「主役」となってしまうことがあるのでもしかすると賛否両論あるのかもしれませんが・・・僕はそんな野上アナの実況で涙したことがあります。

それは内藤哲也がオカダに挑戦してIWGPを初戴冠した時の内藤哲也入場時の実況です。

あるがまま突き抜けた春
ニュージャパンカップを制しIWGP初戴冠、内藤哲也4度目の挑戦が始まります。

2011年10月両国国技館
IWGP初挑戦の相手は棚橋弘至でした。
あの時だれもが内藤に新日本の未来を見ました。

しかしその4ヶ月後、とめられなかった突然のレインメーカーショック。
未来を掴んだのは後輩オカダカズチカの方でした。

雨に打たれたスターダストに時代は微笑まなかった。
主役は俺だと叫んでも沸き起こったのは大ブーイングでした。

そして去年5月 失意で渡ったメキシコで内藤哲也は生まれ変わりました。
これが今のこの瞬間の内藤哲也、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン内藤の入場を大歓声で両国が迎えた!

思うがまま、何者にも縛られずに生きるという選択。
制御不能というあらたな境地、自ら起こした自由なるこの風が大歓声を連れてきました。

超満員の両国国技館、さあ今内藤がマスクに手をかけた。
この、この声が全ての答えです。

オカダの背中を追いかけて生き急ぎ焦るのはもうやめた。
トランキーロ トランキーロ 焦んなよ 焦んなよ。

ものすごい内藤コールが聴こえてきます。
はじめて内藤の耳に届く大歓声。

主役になると言わなくなったいま、主役になってほしいと願う声が聞こえてきます。
夢を語らなくなった内藤にファンが夢を見始めている!

あとはオカダを倒すのみ。
いつもと同じようにゆっくりと戦いのリングを目指してまいりました。
確かな余裕の現れ、4月、未来を分ける両国決戦デビューから10年。

春風は吹くのか 内藤哲也に生まれてはじめての追い風は吹くのか。

2016ニュージャパンカップ覇者
ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンチャレンジャー内藤哲也リングイン!!

ここまで1つの実況のなかで多くの名言が出てくるものは他に記憶がありません。
そしてこの実況は内藤哲也を振り返る時に確実に歴史的1ページ、名シーンとして語り継がれることでしょう。

そしてこの熱さがスポーツのプロレスの実況の醍醐味の究極系だと思うのです。
熱さを忘れつつある現代人に熱さを取り戻せる場所がプロレスにはある!


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