2月21日、後楽園ホールにて引退試合を行った飯塚高史。
これまでにもこのブログで何度も話題にしてきましたが、僕にとっても思い出の深い選手ですし数少ない僕がプロレスを見る前からデビューしていた選手の引退はやはり寂しいものです。
ここ10年はクレイジー坊主として悪の限りを尽くしてきましたが、それ以前にも様々な形で活躍をしてきた選手である飯塚高史は新日本プロレスで天下を取ったことはありませんが何度も変化を繰り返して常に新日本プロレスのリング上で話題を生み出してきました。
今回の引退興行ですがオープニングVTRを見ると近年ファンになった人にも「飯塚の歴史」が伝わると思います。
友情タッグ崩壊をしたときは・・・プロレス友達に電話して「飯塚が大変だ!」と騒いだものです...(笑)
そして事前に公開された真壁刀義が飯塚高史を語るスペシャルインタビューもとてもおもしろくて、本当に真壁刀義は喋りが上手いなと再確認したと同時に面白いなと思ったのはGBH時代の話をしているときの真壁はその当時の喋り方とか目つきに戻るんですよね。
「この人すげーわ」って思いましたので、この映像も掲載しておきますね。
何か懐かしい映像が多くてすでに泣きそうでした。
Contents
天山の呼びかけに飯塚が答えるのか、飯塚はどう引退するのか?
というドキドキ感が止まらない試合
友情タッグを復活させようと札幌大会から行動を開始した天山広吉とそれを拒絶する飯塚高史。
等々力渓谷の祠に飯塚の心を探しに行く天山広吉。そして引退試合へと現在の新日本プロレスのメインストリームではない二人ですが、札幌大会以降の話題の中心は全て天山広吉と飯塚高史の元友情タッグでした。
僕としては「飯塚高史が元に戻って言葉を発して引退してほしい」とも思いましたし「このままの飯塚高史で引退してほしい」とも真逆の2つの思いを抱えていました。
やはりあの頃のショッキングピンクの飯塚高史や対抗戦でブレイクした飯塚高史も懐かしいですし、でもこの10年の飯塚高史だって最高のレスラーだと思いますからこれは本当に「俺はこう思う」って意見を出せなかったです。
引退試合はオカダ・矢野・天山と鈴木・タイチ・飯塚の6人タッグマッチとなりました。
そして実況解説は飯塚高史の獲物として一方的な抗争を繰り返してきた野上アナとなりましたが、これは期待通り久々に飯塚が野上アナを襲撃して裸にネクタイという恥ずかしい姿にさせることに成功。
試合前に天山がマイクを握り「飯塚!」ではなく「飯塚"さん"」と呼びかけ、飯塚高史の心を取り戻させるラストチャンスにかけましたが、飯塚高史は「大飯塚コール」に対しても天山に対しても怒りを爆発させて襲いかかりました。
ここからはほぼ試合に出ずっぱりの飯塚高史(引退とは思えないぞ・・・)ですが心が戻る気配はないまま、盟友鈴木みのる・タイチとラフファイトで感傷ムードを徹底的に破壊していきます。
飯塚高史の引き出しから飛び出した魔性のスリーパー・膝十字・ブリザード
このまま飯塚高史はいつもの飯塚高史のまま終わると思っていた中、オカダカズチカが飯塚をレインメーカーで葬ろうとした時、飯塚高史の引き出しから魔性のスリーパーが飛び出しました。
しかし、トップ中のトップであるオカダカズチカがこれぐらいで慌てることもなくドロップキック2連発から再度レインメーカーを狙い今度こそ飯塚高史の最後かと思いきや・・・あの日、あの時代、飯塚高史が見せていた飛びつき膝十字固めレインメーカーを切り返すという攻撃に!
10年間封印しても錆びついていないその膝十字固め、こっそりと毎晩引き出しから出して研いでいたのでしょう・・・
これにはオカダカズチカも苦痛の表情で叫びました。トップに立てなかった男が引退試合で現代のトップを苦しめる。
プロレスのロマン、プロレスの凄さ、プロレスの面白さをこの一瞬で表現するプロフェッショナル飯塚高史の姿。
そして、未遂に終わってしまいましたがブリーザードスープレックスを狙う構えまでを見せた飯塚高史。
一瞬でしたがあの日の飯塚高史の心が蘇っていた、そんな戦いを見せてくれました。
ここまで出ずっぱりで試合をした上にオカダカズチカのリバースネックブリーカードロップ、ヘビーレイン、ダイビングエルボードロップ、ドロップキックを食らう飯塚高史は近年ではここまでの試合らしい試合をしていないので相当キツかったはずですが、それでも最後のリングにいつまでも立っているという思いなのか何度も立ち上がり、そして天山広吉へ別れの魔性のスリーパーを発動。
そして、アイアンフィンガーフロムヘルを狙う飯塚に対して天山広吉が顔をくしゃくしゃにしながら最後の呼びかけを・・・
これには飯塚の中の飯塚が反応したのか、戸惑いを見せて悩む素振りを見せる飯塚。
あと一歩、あと一歩で飯塚高史が戻るかもしれない・・・
でも、結局戻らない飯塚はアイアンフィンガーフロムヘルを狙う。
しかし天山は飯塚を100%信頼していなかったのかあっさり避ける(笑)
そこから矢野の金的→オカダカズチカのツームストンパイルドライバー→天山広吉の久々のダイビングヘッドバットを叩き込まれてしまう飯塚高史。
しかしダイビングヘッドバットを的中させた天山はフォールすることなく飯塚に馬乗りになって最後の最後まで飯塚の中の飯塚に呼びかける。
しかしもう動けなくなった飯塚高史。
そこにそっと天山・飯塚の友情Tシャツを乗せるとムーンサルトプレスで飯塚高史に引導を渡し3カウント勝利。
そして試合後、まだ飯塚に呼びかけ続ける天山。
会場は大飯塚コールに包まれて飯塚は頭を抱えながら戸惑いを隠せない。
大歓声に包まれるリング上、そして喜びを爆発させて飯塚を抱きしめようと手を広げて近づいた天山広吉に対して飯塚が取った行動は・・・『噛みつき』
そして『現役最後のアイアンフィンガーフロムヘル』を天山へプレゼントして飯塚高史は引退しました。
そして飯塚高史はリング外を徘徊し、引退セレモニーなどはないままの中で盟友鈴木みのるがぶっきらぼうに10カウントゴングを鳴らす。
そんな中でタイチがマイクを持ち「 飯塚待てこの野郎! お前本当にに引退するのかどっちなんだよ? 最後ぐらいテメェの口からハッキリ言えこの野郎!」と叫ぶものの飯塚はその声に答えることなく会場を後にしました。
それでもお客様は20分近く帰らず飯塚コールを送り「もしかしたら」という可能性にかけましたが飯塚高史がリング上に姿を表すことはありませんでした・・・。
これにてプロフェッショナル飯塚高史の引退試合は終わりました。
タイチが持ち帰ったアイアンフィンガーと「裏切りの象徴」
誰もいなくなったリング上に残されていたのは飯塚高史のアイアンフィンガー。
引退するのだからもう必要ないのでしょう。そして飯塚高史の魂はリング上に置いて行ったという表現でもあるのでしょう。
そんな中、ふらりとリングに戻ってきたタイチがアイアンフィンガーを見て寂しそうな表情を浮かべると、おもむろにアイアンフィンガーを手に取り・・・つけるふりをしてニッコリ微笑む。
そして、自分の武器であるマイクスタンドのヘッド部分にアイアンフィンガーを装着し「アイアンフィンガーフロムマイク」にして去っていきました。
試合後にリング上から飯塚に呼びかけた行動、そしてこのアイアンフィンガーを持ち帰る行動。
更には試合後のコメントなど、正直「もう鈴木軍はタイチのユニット」だと思いましたし、ここ最近の内藤との抗争にしてもこの飯塚高史の引退に向けてのTwitterでの動きや先日のジャイアント馬場興行で川田利明に絡んだりしたことも含めて考えると、今新日本プロレスで最も話題を作り行動して1歩どころから2歩3歩と踏み出しているのはタイチだと思います。
タイチ「(手に持ったアイアンフィンガーを耳に当て)聞こえるような聞こえねえような。残しちまったな、あいつ。結局、辞めたのか、やるのかどっちだ? 意思がねえからさっぱりわかんねえな、おい。本当によ、辞めさせられたのか、辞めたのか、どっちなんだ? 真相はわかんねえよ、あいつにしかよ。もしかしたら、(アイアンフィンガーを見つめながら)俺と天山が探していた飯塚の心っちゅうのは……そんなわけねえか。まあいいよ、これは俺がもらうよ。そうだ、飯塚、お前は引退した意思はねえんだよ。いつでも俺が持ってるからよ。これをハメたくなったら俺の所に来いよ。いつも持ち歩いてやっから、いつでも。戻って来いでも復帰でもねえ。いつでもまた入って来いよ、あん時の札幌みたいによ。カッコよかったぞ。待ってるぜ」
試合後のコメントも泣かせてくれます・・・
が、少々気になることがあります。
飯塚高史とは裏切りの歴史を作ってきました。
天山広吉を裏切り、GBHからCHAOSに行き、またCHAOSを裏切りの鈴木軍に加入。
その裏切りの歴史を作ってきた飯塚高史の象徴であるアイアンフィンガーをタイチが持っていったということには深い意味がありそうです。