グレート-O-カーンを異種格闘技戦で退けた鷹木信悟。
KOPWのベルトをその手に戻した鷹木信悟選手がオカダカズチカ選手をリングへ呼び出した。
ここからのやり取りはざっくり以下のような感じでした。
・鷹木
大阪でオマエがそのIWGPを懸けるんだったら俺が持つこのKOPWも懸けたっていいんじゃねえか?なんだったらオマエが提唱してくれたんだ。初のIWGP戦でKOPWのルールで戦ったっていいんだぜ。さあ、いますぐ返答を聞かせてもらおうか
・オカダカズチカ
まさか何かルールがないと俺に勝てないと思ってないですよね?そんなつまらない鷹木信悟、俺はイヤですよ。しっかりとこのIWGP世界ヘビーの新日本プロレスの戦いを二人で見せてやりましょうよ
そして、この次の鷹木信悟選手のリアクションが
「まあオカダならばそ言うだろうなと思ったよ、ハッハッハッ」
引き下がるの早っ!!
KOPWの価値を今日また1つ高めたこと、2022年にKOPWの中心として価値を高めたこと、だからKOPWにIWGPを引きずり込むというような面白い角度からの戦いをしていると思った鷹木信悟選手ですが、少年漫画や青春ドラマのようなセリフで「一件落着」という形に・・・
恐らく、ファンが鷹木信悟選手にイメージしている熱さってこの方向じゃないと思うんですよ。
「ならば!前哨戦で!お前から!KOPWも懸けてくれと!言うようにしてやるよ!お前が提唱してお前が見捨てたこのタイトル!IWGPに並ばせてやるよ!」
ぐらいのことを期待していたファンの方が多かったのではないのかなと・・・
加えて「安くないオカダカズチカが鷹木信悟だから挑戦を受けた」という経緯の中「勝手にIWGP挑戦権をKOPW戦で懸けた鷹木信悟」に対してのオカダカズチカ選手からのリアクションもなかったじゃないですか?
僕、これについては鷹木選手に対して王者オカダカズチカがボロクソに言うぐらいを想像していましたし、それを言われてこそ「KOPWの価値は上がっている、だからIWGPの挑戦権も懸けた、ということはIWGP戦にKOPWを懸けてもいいじゃないか」という論調で反論するぐらいまではあると思っていたので、まさかまさか「お前ならそういうよな、ハッハッハ」で終わるなんて(笑)
で、オカダカズチカ選手がIWGPを掲げてリングを出ると・・・
シーーーーーン
会場は大静寂に包まれて、たまらず鷹木信悟選手が「変な空気になっちまったな」とマイク。
で、この場面に関してもダブルタイトル戦になるなら鷹木信悟選手もKOPWのベルトを掲げて王者2名がベルトを掲げてファン熱狂→BGMでもかかる、なら締りが良いのですが・・・KOPWを拒否されているだけに鷹木信悟選手はベルトを掲げずに肩にかけたベルトに対して少し遠慮気味に指を指すに留まったので・・・この日に初めてプロレスを見た人にも
KOPWが格下ですよ
ってアピールをしているかのようになってしまったと。
同時にKOPWという素晴らしいタイトルになり、本当に鷹木信悟選手とタイチ選手などで2022年に盛り上げてきたこのファンも多いタイトルがファンから見た時に「何か悲しいな」と思わせてしまったようにも見えたのです。
そこからは鷹木信悟選手の独演会とL・I・Jメンバー登場で何とかまとめましたが・・・
試合後、解説席に怒る男が
真壁刀義選手ですよ。
真壁選手はドがつくヒール時代から「相手をボロカスに言う」→「だけどな」とちょっと褒めたりするぐらいの人です。
解説席にいるときでも、どちらかと言えば盛り上がらなかった試合でも「良いところをピックアップする」とか「ミラノ君これさぁ」から始まる語りで試合を盛り上げる良い兄貴ですよ。
そんな真壁選手、試合後にアナから話を振られると・・・激おこ。
ん~、って言うかさぁ・・・
なんだろなぁ?
こんなこと解説席から言ったらいけないかもしれないけどさぁ
なんかさぁ、オカダと鷹木のやり取りがさぁ
戦いがないんだよなぁ
だからなんかさぁ
まぁ一番最初にそこにさぁオーカーンってのがいたからなんだけどさぁ
試合が終わった安心感なのかわかんないけどさぁ
なんかセリフ1つ1つがさぁ
戦いがないんだよなそこに
だから俺は素直にさぁ、お前らよく言ったって言えねぇんだよ
熱いものを感じてねぇのよ
それを見て聞いて観客はオッて思うじゃんか?
その熱いものを感じたかったんだけど、俺の中では勝手の言い分だけどイマイチな感じがしたよ
(前哨戦で)覆してほしいよ、今の空気をさぁ
賛否両論ありますが「そうだそうだ」という声が多いように思います。
そして真壁選手なら「言葉」と言いそうなところを「セリフ」と言うあたり、要するに「セリフ」に聞こえたのでしょう。
これはファンがイマイチ盛り上がらなかった理由と繋がると思うのです。
あまりにセリフ臭く、感情が見えない。
生モノであってほしいレスラーの言葉。
「オカダならそういうと思ったよハッハッハ」
に、至るまでのやり取り。
ここでファンが変な感じになったのは、レスラー側もそんなに燃えていないというか少し冷めているというかそれが伝わったというか・・・。
これはプロレス以外でもそうで、アスリートにしてもミュージシャンにしてもですよ。
「あ、この人は今ちょっと冷めてる感じの状態で熱いことを言っているな」ってのは見ている人に伝わるんです、面白いことに。
試合後にマイクで叫び感情を露わにして熱狂を生む大仁田厚選手でも「いつもの口調だけど気持ちが冷めてるな」と思う時はそこまで盛り上がらないこともありますもん(笑)
そもそも少年漫画の1シーンを「読んでいる」感じをプロレスファンは求めていないと思うんですよ。
言葉が重要になりすぎた近代のプロレスとはいっても、その比重を大きくすればするほどこうなってしまうのかもしれませんが・・・それでもまだファンが求めているのって「リアルな部分」だと思うんです。
だって怒鳴りちらかすタイプじゃない内藤哲也選手がなぜ淡々とした言葉で「全国でブーイングされる嫌われ者」から「日本イチの人気レスラー」になったかと言えば、その時々その瞬間やリアルタイムに近い言葉が多いからだと思うのです。
その日の試合、リング上であったこと、前日に相手が出したコメント、会社が発表したことに対してなどについてそのタイミングで思ったことを言葉にしてくれます。
もちろん多少は事前に言いたいことを用意しているでしょうけど、それでもLIVE感をどんどん入れてくるわけです。
なので内藤哲也選手の場合は逆に矛盾したことを言うこともあるし、上手く返せずに言い負かされるような形になっていることも実際にあるわけです。
でもそれってリアルじゃないですか。
予めばっちり用意したことを言い合えばお互いが損をしない美しい青春ドラマのようなやり取りだって生まれることでしょう。
でもそれって常に80点とかじゃないですか?
しかしプロレスラーに求められる言葉ってのは10点の時もあるけど150点を超えてくるような、感情が揺さぶられるようなものだと思いますし、それはやはりリアル感・LIVE感・オンタイム感などがないと出てこないと思うんですよ。
もちろん映画やドラマや漫画のセリフで感動したこともあります。
人生に良い影響を与えてくれた言葉も多々ありますよ。
でも皆さんが人生の中で「響いたなー」って言葉、例えば恩師、親、兄弟、家族、友人から言われた言葉ってその人達はその時のその瞬間にやり取りの中で出てきた言葉じゃないですか?
事前に用意していた言葉ではなくないですか?
その瞬間のリアルでしたよね?
なんだかんだ色々なファン層があってもプロレスファンって心でプロレスを見ていると思いますし、その点に関しては何かファン心理をわかってほしいなと思いますね。
いい言葉よりあなたの言葉が聞きたいって思うのがプロレスファンの熱さだと思いますから。