プロレスに熱さを感じる瞬間は人それぞれあると思います。
ライバルとの戦い、ヤングライオンが先輩に立ち向かっていく時、一歩も引かない張り合い、負傷している個所を使う捨て身の攻撃...などなど試合内容での熱さもありますし、シチュエーションやコメントなどにそれを感じるときもあります。
さて、そんなプロレスの熱さを感じる瞬間ですが僕が一番好きなケースは...近年になって極端に減少しています。
90年代はよくありましたし、近年でもたまに見ることがあるのですが「なぜもっとやらないの?」と疑問に感じることです。
それは「大一番で仲間がセコンドに付く」ということです。
闘魂三銃士が世代抗争をしている時、例えば武藤敬司と長州力が試合をしている時にセコンドに橋本真也や蝶野正洋が付くとか。
蝶野正洋が橋本真也に挑戦する時に天山広吉やヒロ斎藤がセコンドにつくとか、G1の決勝で長州力のセコンドに藤波辰爾がついて永遠のライバルであり仲間である長州を鼓舞するなどのケースです。
最近も近いことはありますがそれはあくまでも「試合に介入するためにヒールが行うだけ」というケースが多く、これはまた別物だと僕は思うのです。
Contents
ユニット売り&仲間との絆をアピールするのに、なぜセコンドに誰も登場しなくなったのか?
今の新日本プロレスは複数のユニットがあり、ユニット単位で応援をするファンが増えています。
今回のニュージャパンカップで言えばCHAOSはユニット同士の戦いを通して絆が強くなり、その戦いを通してまた1つオカダカズチカが成長して優勝するというような美しい流れに感動しました。
一方、決勝で対戦したSANADAもロスインゴベルナブレスのメンバーで仲良しこよし集団ではないとは言っても、EVILという相方がいますし内藤哲也との絆もあるわけですが、なぜ・・・決勝戦で同じユニットの仲間がセコンドについていないのか?
まぁ簡単に言ってしまえば試合が終わったらシャワーを浴びて帰る選手が増えているからなのでしょうけど、僕としては大一番に関してはセコンドに付いてほしいなと思うわけですよ。
これってプロレス独特の文化というか、プロレスだからできることじゃないですか?
ボクシングの世界タイトルマッチでライバルがセコンドにつくなんてありえませんし、総合格闘技などで同じジム所属の選手がセコンドにつくことはあってもコーナーサイドにいるだけで目立つことはありませんよね。
でもプロレスの場合は違います。
先程の長州力と藤波辰爾の場合で言えば、リング下で心が折れそうになっている長州力に対して藤波が顔を張って気合いを入れるというシーンがありましたし、また藤波辰爾がセコンドにいることで『その試合の重要性』や『緊張感』が大きくなりそれがファンに伝わるじゃないですか。
そして時にセコンドが介入した場合にそれを阻止するために両軍が乱闘になるとか、そういうのもプロレスの華だと思います。
でも最近は例えばオカダカズチカがBULLET CLUBに襲撃されても誰も助けに来ません。
棚橋弘至がジェイにやられていても誰も助けにきません。
鈴木軍が大暴れしても誰も助けにきません。
その時に起こることと言えばセコンドにいるヤングライオンが止めに入って、なぜか試合ではタフなのに一発エルボーを食らうと吹っ飛んでいって場外で倒れたままになるのが定番です。
ファンが今以上に熱くなり感情が入るようにするためには仲間がセコンドに付くという光景をもう少し増やすと効果的なのではないか?と思いますし、単純にファンも見たい人が多いのではないでしょうか。
年に2回は見直す試合「アレックス・シェリーVSプリンス・デヴィット」
ベスト・オブ・ザ・スーパージュニアの決勝戦、アレックス・シェリーとプリンス・デヴィットの試合はもしかしたら一番多く見ているプロレスの試合かもしれません。
悪の道を選んだプリンス・デヴィットはジュニアにしてヘビー級を従えてBULLET CLUBのボスとして大暴れしていた時期で、介入なども当たり前にしていました。
さあ、そんな決勝戦ですがアレックス・シェリーのセコンドにはキャプテンニュージャパン、相方のKUSHIDA、そしてエースの棚橋弘至がつきました。この時点でこの試合の緊張感も格も重要性もグッと上がりました。
プリンス・デヴィット側にはファレ・アンダーソン・タマが付いたことで、これは「個人の戦いでもあるし本隊とBULLET CLUBの全面戦争である」という構図が明確になりました。
無効試合になるのでは?というほどのセコンド同士の乱闘もあり、その中で奮闘したアレックス・シェリーでしたが最後はプリンス・デヴィットに敗れてしまい大ブーイングでのバッドエンドとなりましたが、このブーイングは最近のジェイホワイトに対する「ブーイングしておかなきゃ損」みたいなノリではなく、ファンが燃えた結果に発生した感情渦巻く光景でした。
そして、その後棚橋弘至とプリンス・デヴィットのシングルマッチの時にはランバージャックデスマッチだったのでセコンドがいても当然ですが、棚橋弘至のセコンドに真壁刀義がついており自らが試合をするかのような気合いの入った表情をしていましたが、これだけでもこの試合の価値がグッと上がったと思います。
見方によればコテコテで子供っぽい光景なのかもしれませんが、プロレスはそういう表現ができるジャンルですし僕は何十年プロレスを見ていても「腕を組んで、ハイハイこういう試合ね」みたいな玄人マニアのような見方ではなく、プロレスという異空間を見て子供心のままで「カッコイイ!!」って言っていたいですので、そういう意味では「セコンド」という一種のアイテムというか付加価値というかそういうものをもう少し使ってほしいなぁと思ってしまうのです。
橋本真也さんが亡くなってしまい、絶望のドン底で満身創痍でG1を戦い決勝まで来た蝶野正洋。
相手は勢いに乗る怪物藤田和之で行われた決勝戦ですが、この時も精神的にもコンディションも悪い蝶野正洋をセコンドで鼓舞する仲間たちの存在は大きかったと思います。
蝶野正洋の優勝には賛否両論ありましたが、このシチュエーションなのですから僕は感動して涙しましたし、これがプロレスの良いところなのではないか?と今でも思います。
マディソンスクエアガーデンのメインはどうなるだろう
本隊とCHAOSが場当たり的に統合のような形になってしまった中で、ニュージャパンカップではCHAOSの絆というものが再度クローズアップされる展開となりました。
それであれば、マディソンスクエアガーデンのメインイベントではジェイホワイトに挑むオカダカズチカをリングサイドでセコンドとして見守る石井・YOSHI-HASHI・後藤・矢野・オスプレイの姿が見てみたいものですし、BULLET CLUB側に関してはどうもまだジェイホワイトがリーダーという雰囲気があまりない(絆を感じない)だけに、プリンス・デヴィットの時のようにメンバーがボスを担ぐというか支持しているんだという姿を見せてほしいなと個人的には思います。
プロレスランキング