ほころびてる傷を埋めるのは 僕が僕で在り続けるため

1998年5月2日、人気絶頂のなか、突然永眠した、X JAPANのギタリスト、hide。あれから20年、『hide 20th Memorial Project』の一環として製作されたドキュメンタリー映画『HURRY GO ROUND』が、いよいよ5月26日に全国公開となる。

20年ですよ、あっという間。
あの日の僕はコンビニバイトの日でした。
家で着替えたり準備をしていると、確か政治家の人が自殺した報道がされていて、それを何気なく見ているとテレビの画面に「hideも」という文字が。

当時の報道ではhideが自殺したという内容でしたが・・・理解ができないんですよね。
前年にXJAPANが解散して、でもすぐにhideはファンのために動いた。
ROCKET DIVEという名の宇宙船にファンをすぐに乗せてくれて、これからどんな音楽を聴かせてくれるのか?とワクワクしていたところです。

自殺なんてするような人じゃないし、誤報だろうなと。そう思ってコンビニに行きました。

でもね、当時コンビニでつけていた有線のリクエストチャンネルから次々とhideの曲が流れるんです。
コンビニに来るお客さんで泣いている子もいましたし、ふと携帯を見たら音楽仲間からのメールが沢山。

で、その日の明け方に聞いていたhideのオールナイトニッポンを思い出したんです。
正確な言葉ではないですが、番組の最後に「この4週で自分の人生を語り尽くしてしまった、薄っぺらい人生ですよ」みたいなことをhideが言っていて、何だかモヤモヤした気持ちを抱えて寝たんです。

だからその時点で(結果的に今でも自殺ではないと思ってはいるんだけど)「あぁ、hide自殺したんだ・・・」と理解しました。
そこからはバイトどころではないです、涙が止まらないし、hideの曲は次々流れてくるし、頭が真っ白のまま0時の閉店を迎えて走って家に帰りました。

当時は今みたいにネットで情報を得ることなんてできなかったから、翌日の朝までhideの曲を流して過ごして、そこからはスポーツ紙を買いに行き、朝のニュースを見て、どんどんhideが死んだというリアリティを突きつけられていく。

それからは当時を覚えている人が見たまま、後追い自殺はあるし、葬儀に5万人が集まり、洗脳されているtoshiも葬儀に参加して、Forever Loveを演奏。憔悴しきったyoshikiが会見をして、日本中のXファン、hideファンがどん底にまで落ちて行き・・・
でも、逆にこれで日本中の人にhideの名前と音楽が広まった。

それから、放心状態で過ごして、5月13日にピンクスパイダーがリリースされた。
日本では無かったような曲、美しいサビのメロディ、辛辣な歌詞、ロック界に残る名曲だった。
聴き終わってボーッとしていると、突然CDコンポから「でたーらめーと~」と爆音で次のシングルever freeのサビが流れた。

不思議なんだけど「hideが生きてる!」と思ったんですよ、その瞬間。
凄い生命力の塊、希望の塊みたいな歌詞とメロディが突き刺さったからなのでしょうか。

ROCKET DIVEでは「恐れることなんてない、突き進もうぜ!」という希望を
ピンクスパイダーでは「飛び出した空から落下する、そう簡単じゃないぜ」という絶望を
そしてever freeでは「でもさ、人生は何回でもチャレンジできるんだぜ!」という無限の可能性を

この後にはHURRY GO ROUND In Motion Junk Story コギャルなどリリースされまして、これらも好きな曲ですが、イメージとしてはhideの最後は上記3曲、3部作だったと思いますし、この3部作にhideの死が加わることで、当時は「でも死んだらおしまいじゃないかよ・・・」と思っていましたが、それから数年が過ぎると「死んじゃっても生きてるってこともあるんだな」と、「忘れられるまでは死じゃないのかもな」なんてことを思うようになりました。

hideがソロ活動を開始した初期の曲、TELL MEも好きな曲なのですがその歌詞の中に「ほころびてる傷を埋めるのは 僕が僕で在り続けるため」というものがあります。

hideが亡くなり20年。それからもhideは音楽ビジネスの中で生きていて、様々なリリースがあります。
恐らくhideが喜んでいるものも沢山あるし、怒っているような物も沢山あるでしょう。

XJAPANは今、世界を舞台に活動しています。先日のライブではhideとtaijiがホログラムでステージに立ちました。
そういうこともあるので、hideはこれからも活動をしていくことでしょう。

でも、できれば・・・hideがhideで在り続けれるかどうかを考えてほしいなぁなんて思うんですよね。

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