小学生の頃サッカー部だった私ですが、影響を受けたのはもちろんキャプテン翼。
世界中のサッカー選手がキャプテン翼を見てサッカー選手を目指したぐらいに影響力がある漫画/アニメでした。
そんなキャプテン翼がこの春から復活するということで楽しみに思っているのですが・・・現代っ子にウケるのか?という疑問もあります。
私なんかは本気でスカイラブハリケーンとかできると思っていましたし、タイガーショットができるようになればコンクリにめり込むぐらいのシュートが打てると思ってましたからね。
スポ根漫画だと思ってみていましたし(初期の翼や日向の考え方はスポ根全開ですが)絵面だけ見たら今の子供達にはギャグ漫画にしか見えないのでは?なんてことも思うわけです。
さて、キャプテン翼というのは世界的に見ても稀な「ゲームが原作より人気」の漫画です。
ファミコン版のキャプテン翼の1と2の完成度が高く、必殺シュートのバリエーションが多いことから多くの子供達がハマりました。
私の周りでもゲームはやっているが原作は読んでない子も沢山いましたからね。
僕が好きなのは小学生編と中学生編、ここは本当に熱くて小学生に見えなくなるぐらいの命がけの戦いをしていました。
主人公の翼も天才とは言え簡単に相手に勝てるわけでもなく、悔しい思いをしながらも強くなっていく姿に多くの少年たちが憧れました。
が、しかし、キャプテン翼は先に進めば進むほど翼が絶対王者になってしまうのです。
名ライバルたちの扱いが悪くなる中、翼は相手の特技をすぐに自分のものにしてしまいますから翼以外のキャラの存在が立たなくなりますし、翼こそ絶対、絶対は翼という少年漫画としては最悪の方向に行きました。
少年漫画って負けることの美学があるじゃないですか。
悟空だって負けることがあります、でもそれを乗り越えて強くなる姿が美しくカッコよく見えるわけです。
ベジータだって、桜木花道だって、星矢だって、ルフィだって、苦難があるから美しいじゃないですか。
そう考えていた時に、少年漫画と近い存在で私が30年近く愛してやまないプロレスが頭に浮かびました。
プロレスの美学、私は生き様を表現することだと思いますし、それを見せるには敗北や挫折が必要です。
猪木だって負けからのカムバックがありました、藤波辰爾もそう。長州力だってG1全敗ということもありました。
武藤敬司もスランプになり寺で修行してから戻りましたし、蝶野も三銃士の中で地味な存在から黒のカリスマとなるまで這い上がりました。
橋本真也のトニー・ホーム2連敗、天龍という壁などありましたし、近年では棚橋や中邑、真壁や第三世代も負けて美しく輝きを増して這い上がりました。
今最も人気であろう内藤哲也も全国各地でブーイングをされながら今ではカリスマ化して新規ファンが信者化するぐらいの存在になっています。
ただ、プロレス界をV字回復に導いた要因である現IWGP王者のオカダカズチカ選手は少し違います。
高身長、ルックスよし、運動神経バツグン、まだ30歳ということもあり数年前からオカダ絶対王者のような構図になっています。
もちろん途中途中では棚橋や内藤、AJにも負けているのですが、負けからの這い上がりが異常に早く、会社のプッシュの方針としては安牌なので理解はできるのですが、レスラーの背中にあるカタルシスが無いので感情移入されにくくなってきています。
無敵の王者、相手の必殺技も通用しない、やろうと思えばなんでもできる、まさにキャプテン翼状態に”させられている”ように見えます。
先日、大阪大会で王座防衛した時も客席から「オカダは帰れ!」とヤジが飛びました。
憎たらしいぐらい強いチャンピオンというのも1つのキャラであり魅力ではありますが、負けることを望まれるチャンピオン化してしまうとせっかくのオカダカズチカという素晴らしい素材が駄目になる可能性もあります。
オカダカズチカは中学を卒業して登竜門に入りメキシコで修行していました、そこから新日でデビューし、また海外遠征に行くものの一度目の帰国は大コケに終わり、挫折もしましたが次に戻ってきたときには怪物のようになっていました。
それでも棚橋という大きな壁、AJスタイルズという好敵手なども登場し東京ドームで負けて号泣しながら花道を下がった姿なども印象的です。でもその後の無敵状態になってからは印象が薄れてきました、これが不思議なところで、どうにもキャプテン翼の小学生編・中学生編・ジュニアユース編の大盛り上がりな熱い展開とその後の翼1強の盛り下がりとかぶって見えてしまうのです。
これがアニメであれば、それ以上の強い敵を作ってしまえば修正は可能です。
ですが、プロレスの場合は作れる部分は当然ありますが、素材を0から生み出すことはできません。
フリーザや魔人ブウは絵で書けばいいですが、実際の人間が戦うプロレスの世界では120点の選手を生み出すにはベースが90点以上ある選手がいなければ無理でしょう。
そんなことを思いながらだとキャプテン翼が楽しめなくなりそうです(笑)